盆栽風お花見アレンジメント|二十四節気 暦のレシピ 第24話(最終回) 春分

3月20日から4月5日までは春分(しゅんぶん)。今回は、盆栽風お花見アレンジメントのつくり方をご紹介します。

制作・文:猪飼牧子 撮影:清水美由紀

3月20日より二十四節気は春分です。春という季節のピークを迎えた自然界。色とりどりの花をこぞって咲かせる様子は、見るものの心を楽しませてくれます。

そしてこの時季は私たち日本人の大好きな花、桜の咲くとき。青空の下、光を浴びて咲き誇る桜の姿は、春という季節を最も実感させてくれる気がします。日本の園芸文化のひとつとして草木の自然の姿を小さな世界で楽しむ盆栽がありますが、本物の盆栽を育てるのは少し敷居が高く感じますよね。

今回はご自宅にある和風の器で手軽に楽しめる、盆栽風お花見アレンジメントのつくり方をご紹介します。

 

盆栽風お花見アレンジメント

材料

左から
グリーンベル
バイモユリ
ナズナ(タラスピオファリム)
菜の花
リューココリネ
マーガレット
マメの花
ケイオウザクラ
ゼンマイ
コゴミ
シオン

その他
山苔、フローラルフォーム、活ける器、花ハサミ、カッターを用意。

1.フローラルフォームを吸水し、活けたい器の大きさに切って器にはめる。

2.器の中心よりも少し後ろ側に高低差を出しながらケイオウザクラを挿す。

3.ケイオウザクラの手前に少し低めの高さで菜の花を挿す。

4.ケイオウザクラと菜の花のまわりに、リューココリネ、グリーンベル、バイモユリや、ナズナ、マメの花を挿す。

5.マーガレットやシオン、ゼンマイ、コゴミなどの背丈の低いものを挿す。

6.最後にフローラルフォームを隠すように山苔を乗せてでき上がり。

 

自宅に眠っている器を使う

今回使った花器は、昔、お節などに使っていたような2段の蓋つきの器です。なかなかこんな和風の蓋つき器を使う機会はなくなってしまいましたが、盆栽風仕立てにするにはとてもぴったり。穴がなく、フローラルフォームを入れることができればどんな器でも使えるので、ご自宅に眠っている器を探してみるのも楽しいですね。

今回はケイオウザクラをメインにしましたが、この季節は足元の植物も可愛らしい頃。シダ植物の新芽のコゴミやゼンマイなどが地面すれすれのところから顔を出している様子もいじらしい。

桜が咲き始めると上ばかり見てしまいますが、たまには足元の小さな植物に気を留めてみるのも楽しいもの。今まで気づかなかった新しい発見と幸せが、そこにはあるかもしれません。

 

最後に。一年間、ありがとうございました!

フォトグラファーの清水美由紀さんが「カレンダーをつくらない?」と声をかけてくれた一年前の2月。SNSでほぼ自己満足に5日ごとに移り変わる二十四節気、七十二候をアップしていた私には、季節を表現出来るカレンダーなんて夢のようなお話でした。

美由紀さんとは一度撮影でご一緒させてもらった以来はインスタグラムで繋がっているのみでしたが、彼女の撮る写真はいつも空気が瑞々しく美しく流れていて、私が常日頃思う自然の形がそこにはあり、気づいたらファンになっていた自分にそのとき気づきました。

そんな嬉しい出来事が、さらにバージョンアップされ、連載というお話になったときは飛び上がらんばかりの気持ちでした。

ただ、それと同時に二十四節気を表現するという難しさを実感したのです。自己満足で伝えるのではなく、読者の方々がその暦だからこそつくってみたい、と思えるものを考えること。これは今回の連載においてなにより私にとっての課題でありましたが、それと同時にとても大きな喜びと糧を与えてくれるものでもあったと感じます。この経験があって二十四節気、七十二候はこの一年でさらに大切なものとなりました。

そしてそれは連載を読んでくださっている読者の方々がいらっしゃったからこそ。一年間本当にありがとうございました!心から感謝いたします。少しずつ移り変わる季節をさまざまな形でこれからもぜひ楽しんでみてください。

また、常に作品にたおやかな空気をまとわせてくれた美由紀さん(この連載を通してさらなるファンになりました!)、連載のレシピに頭を悩ませていたときにたくさん相談にのってくださったつくりらさま、素敵な一年間をありがとうございました! 猪飼牧子(NEROLIDOL)

 

季節の移り変わりを暮らしの中で感じられるようなものをつくりたい、季節の植物を暮らしに取り入れた写真を撮影してカレンダーをつくってはどうだろう、と思いついて、NEROLIDOLの猪飼牧子さんをお誘いしたことからすべては始まりました。

信州の自然の中で育った私は、たんぽぽの茎で笛をつくり、河原で石を摺り合わせてすべすべに薄くし、大きな木に登り太い枝に寝転び読書をするような少女時代を過ごしました。自然は私にとって、うまく言葉にするのは難しいのだけど、遊び場であり、敬愛する存在でもあり、細胞に刻まれた私自身でもあります。

日本古来の季節にまつわる呼び名や暮らしの知恵。その知識を得て自然と触れ合うと、肌で感じ取ってはいるけれど感覚でしかない私の気持ちと重なり、その季節の気温湿度、風、色、香り・・・五感を刺激するさまざまな手触りが、輪郭を帯びて立ち上がるのを感じます。私の気持ちに言葉をつけてもらった、そう感じることも少なくありません。こういう気持ちをこの連載で共有できていたなら、これほどうれしいことはない、そう感じています。

私の思いつきを一緒に形にしてくれることをひとつ返事で快諾してくれ、毎回美しい作品をつくってくれた牧子さん、連載をさせてくださった「つくりら」編集部のみなさま、そして連載を読んでくださった読者のみなさま。ハグして回りたいほどのしあわせな気持ちでいっぱいです。1年間ありがとうございました! 清水美由紀

 

つくりら編集部よりお知らせ

NEROLIDOLの猪飼牧子さんとフォトグラファーの清水美由紀さんの連載、「二十四節気 暦のレシピ」は、大幅な新規取材を加えて、2020年6月に書籍としてみなさまにお届けできることになりました。ただいま絶賛制作中です。こちらもどうぞお楽しみに!

 

 

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