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第4回 布を切る道具(後編)|ロータリーカッターは、厚い生地や直線には直径45㎜、袖ぐり、衿ぐりのカーブには28㎜が便利です。

前編では、はさみについてお話ししました。後編は、はさみ以外の布を切る道具とその使い方についてご紹介します。

文:安田由美子(針仕事研究家 NEEDLEWORK LAB)  撮影:天野憲仁(日本文芸社)

はさみ以外の裁断の道具、ロータリーカッター

私がファッションの学校で洋裁を勉強し始めたときは、すでに、裁断をロータリーカッターでやることが多かったです。もちろん、基本の裁断ばさみの使い方から勉強しましたが、いまでもほとんどはロータリーカッターを使っています。はさみの使い過ぎで手を傷めてしまった私でも痛くならずに使えるのはとても都合がいい道具です。


▲私の手持ちのロータリーカッター。左からOLFAセーフティーロータリーカッターL、ロータリーカッターS、フィスカース28㎜ロータリーカッター、OLFAホビーロータリー

押して刃を転がすだけで切れるので、早く、布を重ねて切ってもずれにくいという利点があります。薄地、裏地などすべりやすい布の場合は特におすすめです。

丸い刃は、メーカー共通で28㎜と45㎜があり、OLFAには18㎜や60㎜のものもあります。厚い生地や直線を切る場合は大きな径45㎜のものが安定していて使いやすいです。28㎜はカーブも小回りがきいてうまくついていけるので、洋裁の袖ぐり、衿ぐりのカーブなどにも便利です。小さい18㎜のものは、曲線の多い小物や子ども服のパターンなど、カーブがきついものなどに重宝します。

 

ロータリーカッタ―の使い方

ロータリーカッターは、しっかり握って使います。シンプルなつくりのものは、ひとさし指を前に出して持つと怪我をしやすい形のものもあります。そのため、慣れない方などには、握ると刃が出て、離すと刃がカバーにしまわれるセーフティーロータリーカッターなどかなり安全なつくりになっているものもおすすめです。

ロータリーカッターの使い方

ロータリーカッターは洋裁でも使いますが、もともとは工具の部類ですから、ホームセンターなどでも購入できます。

丸い刃は消耗品です。切れなくなったら、すぐに取り替えることが、きれいに裁断するコツです。本体を購入する場合は一緒に替え刃を買っておくとよいでしょう。切れなくなったら、もったいないけどあきらめて、刃を取り替えます。パーツは、はずしながら順番に並べ、刃を取り替えたら順番に戻すと間違いがありません。取替の際は手を怪我しないように注意しましょう。

 

カッティングマット

ロータリーカッターは必ず下にカッティングマットを敷いて使います。机を傷めないため、そして、カッターの刃を傷めないためにも大事です。材質、サイズ、色、また、無地のもの、方眼の入ったものなどがたくさんの種類が出ています。文具・オフィス用品、DIY・工具の売り場など、洋裁用具以外でも売られていますので、自分に合ったものを探しましょう。私は大きな裁断をする場合は60㎝×90㎝を3枚つなげて置いて使います。小物など小さいものの裁断のときはA2の折りたたみカッティングマットが便利です。


▲A2サイズの折りたためるカッティングマット。たためるので収納も持ち運びもラク。写真はナカバヤシ折りたたみカッティングマット。

 

カッティング定規の選び方と使い方

ロータリーカッターでまっすぐ切るとき、定規を当てるのですが、ちょっとだけ注意が必要です。

まず、普通の製図用の定規を使うと、ちょっとしたことで、カッターの刃で定規が削れてしまい、製図で直線が引けなくなってしまいます。製図用の定規を使ってはいけません。それで、カッティング定規というものがあるわけですが、金属の細い板が側面についているものは、カッターの刃を正面から当てないように注意します。刃が曲がったり欠けるなどして切れなくなってしまいます。

パッチワーク定規のようなプラスチックの透明な定規は金属の板がない分安心して使えます。ただ、ロータリーカッターのメーカーによっては、丸い刃を止めている金具が定規に当たってしまって刃が浮いた状態になって切れないものもあるので、ロータリーカッターと定規の相性を考えてから決めると良いですね。


▲上2つがステンレスエッジがついた定規。3番目はパッチワーク用、4番目は製図用の方眼定規、いちばん下の定規は直尺(ステンレス)。4番目は定規が軟らかいので傷ついたり切れてしまい、5番目は定規が薄く当てた刃の壁となりにくく、刃を傷めやすいので、ロータリーカッターには向かない。

 

ノッチを入れる道具

縫いしろ付きパターンで裁断するときにはノッチといって、合い印として縫い代に2~3㎜の切り込みを入れます。このときは、ロータリーカッターではちょうどいい長さには切れないので、裁断ばさみの先を使ったりします。

私はテクニックナイフという半円のカッターの先で入れるのが時間もかからず、正確にノッチを入れることができて気に入っています。ただ、近頃、この道具は廃番になってしまったようです。でも、替え刃だけは販売されているので、本体をお持ちの方、あるいはどこかで売っているのを見つけた方は使われるとよいですね。似た形で障子用丸刃カッターというのもあります。また、似たような道具で曲線刃があり、アートナイフにつけて使うと押し切りをすることができます。


▲左から、オルファ テクニックナイフ(廃番)、アートナイフ、アートナイフプロ替え刃(曲線刃)

 

裁断時に使う文鎮

直接、裁断に使う道具とはいえませんが、文鎮も裁断のときに使う大事な道具です。私はあまり高さがないものが使いやすいように思っています。人によってはつかむ部分がある方が持ちやすい方もいらっしゃるようなので、好みです。

パターンのカーブに沿うような洋裁用の文鎮もあります。適度な大きさでずっしり重い丸い文鎮も、洋裁用です。

このほかに細長いお習字用の文鎮も便利です。また、レザークラフトなどでよく使うカシメ打ち台、アートフラワーで使う葉の押し型なども全く別の分野で使うものですが、重くて便利です。それに比べると軽いですが文房具のエンボッサーも文鎮として使っています。

そういうものがない場合でも、キャンディ缶など適当な大きさの缶に小石や粘土を詰めて文鎮にするのもちょっと楽しいですよ。


▲上2つは書道用文鎮、左側の丸いものは文化学園の[BUNKA]文化型文鎮。右のグリーンはクロバーのファブリックウェイト。実物大型紙の衿ぐり袖ぐりに沿った形になっている。


▲文鎮以外で使えるもの。左上:アートフラワー用葉の押し型、左下:カシメ打ち台、右上のシルバーと紺色はエンボッサー、イチゴの絵がついたのはキャンディ缶。小石と粘土を詰めて文鎮替わりに。

金属そのものという文鎮は、冬に作業するとちょっと冷たいのが難点でしょうか。編んだり縫ったりして、くるんで使われている方もいらっしゃいます。なかなか素敵なアイデアだと思います。

このように布を裁断するのに、洋裁道具として売っているもの以外でも洋裁に使える道具があります。

 

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