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リボン刺繍(後編)|刺しやすいのは穴が広くて長いシェニール針。リボンをふっくら浮かせたり、目を整えるのには目打ちを使います。

文:安田由美子(針仕事研究家 NEEDLEWORK LAB)  撮影:天野憲仁(日本文芸社)

前編ではリボン刺繍のリボンについて紹介しました。後編ではリボン刺繍に使う道具についてお話します。

 

リボン刺繍用の針

リボン刺繍に使われる針はシェニール針、タペストリー針などです。日本ではリボン刺繍用と書いて売られています。ほかに太いフランス刺繍針も使えます。


▲リボン刺繍に向いている針。左3つは先が尖っていて、一番右は先が丸い。

布帛には先の尖ったシェニール針や太いフランス刺繍針を使います。リボンが擦れないようにするためにはリボンが保護されながら布を通ることが望ましいので、太いフランス刺繍針よりさらに穴が広くて長いシェニール針が最適です。シェニールというのは仏語のChenille(シュニーユ)で毛虫、毛虫のような毛が出ている糸、ビロードのような毛羽のあるモール糸のことで、このような糸を通して刺すのに向いた針です。

ニット地などに刺す場合は同じく広く長い針穴で針先の丸いタペストリー針を使います。クロスステッチ用として売られているのもこのタペストリー針です。スパイダー・ウェブ・ローズと呼ばれる、リボンをくぐらせながら刺すような場合もこの針を使います。先が丸いので、くぐらせるときにリボンを刺してしまうことがありません。


▲スパイダー・ウェブ・ローズ。

少し前まで、リボンや糸を通す穴が1本に2つある針が売られていました。リボンは針からするりと抜けてしまうので、針に通してから動かないようにして止めて刺繍するのですが、これは柔らかいリボンの場合です。硬いリボンの時はこの針の二つの穴に通して使うと抜けにくくなります。また、2種類のリボンを通して刺繍したりすることができます。いまはつくられていないようですが、ちょっと便利な針でした。


▲クロバー デュエット手芸針、穴が二つ上下に開いている。

 

ふっくらさせるのに目打ちを使う

リボンをふっくら浮かせたり、目を整えるのに目打ちを使います。


▲目打ち 左から、クロバー「N目打」(尖った先)、「Nなめらか目打ち」、「ボールポイント目打」、「カーブ目打」(先丸)

リボンが傷まないように丸い先のものもあると便利です。ふっくら刺せるためだけなら、お箸のような木の棒をおいてふっくらさせることもできます。

リボン刺繍は、リボンがつぶれたり、ひきつれているとちょっときれいではないので、道具を上手に使うといいですね。

 

刺繍枠を使うときは注意して

リボン刺繍は枠を使わずに刺してもかまいません。むしろ枠を使う場合は注意が必要です。リボン刺繍は最後にアイロンをかけるときリボンがつぶれやすく、ちょっとむずかしいのです。リボンでステッチした上に枠をはめることもしないように。刺繍枠を使いたいときは図案にかからないような大きめの枠を用意することが望ましいです。

丸枠でも角枠でも、図案より大きめの枠を選ぶとよいでしょう。『刺しゅうの基礎』の作品はApollon刺繍台Delphes(デルフ)中サイズを使って刺しました。 網戸の張り替えの要領で、ローラーを使い、布を押さえゴムで固定していきます。取り外しも簡単でピンと張ることができます。

 

色の取り合わせの参考になる洋書

リボン刺繍の洋書は色の取り合わせもとても参考になります。また、布にペイントして、立体的なリボン刺繍と組み合わせたり、25番のような刺繍糸と合わせたりしているものも。リボン刺繍という枠にとらわれないで、立体的になる刺繍の材料として使われている印象を受けます。リボンもメジャーな細いものから幅広のものまで、たくさんの種類の材料が使われています。


▲海外のリボン刺繍の本。左から『A-Z of Silk Ribbon Flowers』、『Beginners Guide to Silk Ribbon Embroidery』(ともにAnn Cox著)、『Ribbon Embroidery』(Natalie Bellanger-Clement著)、『A-Z of Ribbon Embroidery(Country Bumpkin 著)

リボン刺繍というと花がテーマのものも多いですが、現代アートのような抽象的なデザインの刺繍作品にも刺繍用リボンは使われています。自由な発想でこの素敵な素材を使いこなしていきたいですね。

 

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