更新日: 2017/12/22
文:安田由美子(もったいないかあさん NEEDLEWORK LAB) 撮影:天野憲仁(日本文芸社)
輪針(わばり)というのは、2本の棒針編みの棒の先が、コードでつながっている形状のものです。編むとき輪になるから、輪針なんですね。
私が棒針編みを始めた頃からあったので、ずいぶん昔からあるということです。それまでは、4本あるいは5本の針で輪に編むしかなかったのだろうと思います。(注:ニッティングベルトを使った3本で輪に編む方法もあります。)
よく、イラストなどで編みものというと玉の付いている棒針ですよね。たぶん、最初に買うのもこの玉付きの棒針ではないでしょうか。平らなものを編むにはこの玉付きの2本の棒針で編むことが多いです。
2本針や4本針の代わりにもなる輪針というものが世に出たときは、編みもの愛好家はきっとびっくりしたのではないかと想像します。
▲上:小さい輪を編むのに使われる4本針 下:2本針3~15号
輪針で揃えておくといろいろに使えるということを知ってから、私はほぼ輪針ばかり使っています。
なにしろ、針部分、つまり棒の部分が短いので、バッグや入れ物から棒が飛び出さないのがいいです。普通の棒針はキャップをつけて休ませておいても、なにかと邪魔だと思うこともありました。
私が最初に揃えたのは先端が竹の針。編みやすいけれどコードをお湯にでもつけないと、しまっておいたときのくせがなかなかとれませんでした。それで、輪針の長さ別にまとめ、縦に長い紙の筒を用意して、そこに入れて保管しています。コードの部分を引っかけるように吊しておいてもいいですね。
近頃はわりと細い糸を編むので、addiの輪針の細めを揃えました。addiのコードはしなやかでねじれにくく、とても編みやすいです。
ジョイントさせてあらゆるサイズに対応するセットもありますが、私は、80㎝は単品で2つずつ買って、細く輪に編んだりするのにも使っています。
120㎝くらいの長いものも買いました。靴下やレッグウォーマー、リストウォーマーなど一対のものを左右同時に編んだりするときにも使います。片方を編み終わってもう片方を編む、というのではなく、同時に進められるということは、同じことをもう一度繰り返すことはしなくてよくなり、編みものがさらに楽しくなりました。
▲addiの120㎝の輪針でペア編み。
長い輪針があると、マジックループと呼ばれるように1本の輪針でさまざまな大きさの輪が編めたり、メビウス編みと呼ばれる、メビウスの輪のようなスヌードなどが編めてしまうのです。大きなショールのようなたくさんの目数のものも輪針だと編めたりと、棒だけではできなかった編み方ができます。
気がついたら、今まで編んだもののほとんどは輪針を使っていたように思います。逆にいえば、輪針があれば長い平らなものから小さな輪に編むものまで、輪針だけで編んでこられたということです。
輪針と呼ばれるからか、輪に編むだけと思われがちですが、いろいろな編み方に活用していただきたいです。
Instagram:@tsukurira0714
安田由美子(もったいないかあさん NEEDLEWORK LAB)
文化服装学院デザイン専攻を卒業後、同校に洋裁の教員として勤務。現在は刺繍や洋裁の手芸誌で作品を発表する傍ら、つくり方指導、フランス手芸書の日本語版の監修などを行う。2007年から始めたブログ「もったいないかあさんのお針仕事」は、手芸をたしなむ多くの人々に愛され、現在、490万アクセスを超える。 初の著書『刺しゅうの基礎』を日本文芸社より出版。http://mottainaimama.blog96.fc2.com