更新日: 2017/07/14
文:安田由美子(もったいないかあさん NEEDLEWORK LAB)
洋裁を習い始めたとき、最初は運針を習いました。
そのときはまだ、針の頭をしっかり指貫に当てて縫うことがなかなかできなかったのを覚えています。
友人はシンブル(Thimble)で縫うのに慣れているといって、やはり最初はリングの形の指貫が苦手のようでした。でも、ほどなく、友人も私もこの総目指貫は、指輪のように常にはめている存在となりました。
▲(左上)BUNKAの指貫NO.2(内径16.0mm) /文化学園ショップ、(左下)シンブル (右上)大甲丸/クロバー、指貫NO.2/クロバー(右下)
映画やTVドラマで、洋裁を仕事としている設定の人が縫い物をしている場面で、なんだか違和感を感じることがあります。
洋裁を仕事にしていない役だったら、「素人さんなのね、しょうがないわね。」って思えるのですけど、プロという設定だったら「指貫するでしょう!」とテレビに向かって、ひとり、突っ込んでしまいます。
指貫を使ってなかった?
もしかしたらはめてはいたのかもしれませんが、指貫を使っている動きだったら、さぞかし洋裁のプロっぽく映っていたでしょうに・・・。
効率よく仕事をするため、針で指が傷つかないようにするためのものですから、たくさん縫う人ほどはめているはずだと思うのです。
使わないで縫ってうまく縫えなかったり、針の頭が当たって指が痛くなったりしたら、縫い物がきらいになっちゃいますから、とにかく、最初に指貫を使うくせをつけるといいですね。
ヨーロッパでは、あるいは、キルトの指にはめるのは「シンブル」で、「指貫」とはまたちょっと違うんですね。
日本の指貫は幅の広い指輪のような形で、利き手中指の中節骨にはめます。
第1関節と第2関節の間ですね。
中指は曲げた状態で、針の頭を指貫に当て、親指と人差し指で軽くつかみながら針を持ちます。
ですから、指を伸ばした状態でサイズを選ぶのではなく、中指を曲げている状態できつくないものを選ぶほうがいいでしょう。総目指貫のサイズは00(内径14.5mm)から5(17.5mm)まで7つのサイズがあります。
一方、シンブルは中指の先にカポッとはめます。
指貫をリング状であってもシンブルと同じように先端にはめて縫う方もいらっしゃいますから(そうなるとサイズは00などになるでしょうか)、指の使い方でやりやすいものを選ぶのがいいでしょうね。
洋裁を仕事としてからの人生で総目のリング状の指貫がいちばん使いやすいと思っていたのですが、リングでないものもあります。
そういえば、小学生のとき、最初に買ってもらったお裁縫箱に入っていましたね。
革製で、糸で調節して子どもの指にも合わせることができました。
指の節が盛り上がっているような場合で金属がよい場合は、大甲丸というかたちのもよいようです。
母が、大甲丸の形のがいいといったので、気がつきました。
長年、力仕事もしてよく働いた手ですからね、リング状のは通らないため、これでないと困るそうです。
Instagram:@tsukurira0714
安田由美子(もったいないかあさん NEEDLEWORK LAB)
文化服装学院デザイン専攻を卒業後、同校に洋裁の教員として勤務。現在は刺繍や洋裁の手芸誌で作品を発表する傍ら、つくり方指導、フランス手芸書の日本語版の監修などを行う。2007年から始めたブログ「もったいないかあさんのお針仕事」は、手芸をたしなむ多くの人々に愛され、現在、480万アクセスを超える。 http://mottainaimama.blog96.fc2.com