糸通し|針に糸を通すのに時間がかかると感じたら、使い始めるいい機会。もたもたしているより、道具を使ったほうがずっと早いです。

文:安田由美子(もったいないかあさん NEEDLWORK LAB) 撮影:天野憲仁(日本文芸社)

「糸通し」という糸を通すための道具があります。手縫い針、ミシン針、刺繍針、ビーズ用の針、それぞれに合った糸通しが売られています。


▲左から、ミシン針用糸通し エンブロイダリースレダー/クロバー 木綿針用通し、絹針用糸通し

もちろん糸通しがなくても、針に通すコツがわかっていたり、だんだん慣れてくれば、指先だけですっと糸を通せます。道具を手に取る時間も必要ありませんし、よく切れる糸切りばさみと指だけでよいのです。

でも、うまく通せない場合、糸通しはとても便利ですね。また、今までできていても、一発で糸を通せなくなってきて、通すのにちょっと時間がかかるようになったら、使い始めるチャンスかもしれません。もたもたしているより、道具を使った方が早いですから。

手縫い針の場合、机に置いて使うタイプで、針をセットしてレバーを押すと通っちゃう、というのはとても便利です。


▲らくらく糸通し デスクスレダー/クロバー

ドイツ製のものは20年以上前からありましたが、近年の日本製はよくできていて、あまりに簡単なので、意味もなく針に糸を通したくなるくらいです。

先端の針金が菱形になっている糸通しは安価で手に入りやすいです。お裁縫箱の中でもじゃまにならずにいてくれます。髪の毛みたいに細い針金ですから、針に比べ糸が太すぎたり、滑りが悪かったりすると力がかかり、壊れやすいようです。でも、ビーズ用の針に糸を通すのはなかなか手ではたいへんなので、これがあると助かります。

ミシン針に通す糸通しは、家庭用ミシンに組み込まれているものも多いですね。組み込まれているのと同じ要領で糸を押し込んで通すものも売られています。手縫い針用の糸通しと同様、菱形の針金を針穴に刺してそこにミシン糸を通して引き抜くものなどがあります。これは手縫い針のより丈夫にできています。

刺繍針はある程度穴が長く大きかったりもするので、手だけで通すのもわりと簡単なのですが、慣れないうちは道具を使うとよいでしょう。

形としては、クロバーのエンブロイダリースレダーがおすすめです。この道具は針金ではなく、薄い金属の板状のものが使われています。刺繍糸は複数本で通すことが多いため、刺しゅう糸が縦の方向のまま、並んで針の穴の中を通ります。通しやすい上に刺繍糸を傷めることもありません。

これらの糸通しの中で、しっかりした長めの針金で、菱形になっているミシン用の糸通しには、針に糸を通す以外の使い方もあります。

刺繍をするとき、一般的には最初の糸を遠くから入れて、後から裏でからげるなどして始末します。だいたい針の長さの3倍といわれているのは、針に通して、その針で糸始末をするからです。私は、この10㎝程度の最初に残しておく糸をとても「もったいなく」感じていました。

20年くらい前にアメリカ製のミシン用の糸通しを買いました。裏の縫い目に通し、菱形の部分に糸端を通して引いて始末をすると、せいぜい2~3㎝最初に残しておくだけで糸始末ができました。


▲左は針を使った糸始末。右はミシン用の糸通しを使った場合。針だけだと糸端を長く残さないとならないが、糸通しを使うと短くて済む。

道具は使いよう、といいますが、よい例だと思います。

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