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二十四節気 暦のレシピ 第10話 処暑|穀物の実りを感じる月形リース

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8月23日から9月7日までは処暑(しょしょ)。今回の暦のレシピは、穀物の月形リースです。

 

制作・文:猪飼牧子 撮影:清水美由紀

8月23日より二十四節気は処暑。この時季を境に、厳しい暑さは峠を越し、朝晩は少しずつ過ごしやすくなってきます。灼熱の太陽にじりじりと焦がされ、まるで熱を抱え込んでいるようだった大地が、少し穏やかな顔をのぞかせてくれるとなんだかほっとしますよね。

処暑の七十二候を見ると、初候は「綿柎開(わたのはなしべひらく)」、末候は「禾乃登(こくものすなわちみのる)」と、綿花や禾(のぎ・穀物)など秋の植物が少しずつ出てきます。

初候の綿柎開(わたのはなしべひらく)は綿花(めんか)が開く時季。この綿花は、花ではなくふわふわした「わた」のことをさしています。そして、処暑の末候の禾乃登(こくものすなわちみのる)は穀物が実る意味。「禾」(のぎ)は穀物の総称といわれています。

今回は、そんな七十二候にちなみ、イネ科の穀物や植物、綿を使った月形リースのつくり方を紹介。暑さがやわらぐなか、秋の気配をいち早くご自宅でも感じられるおすすめの一品です。

 

穀物の実りを感じる月形リース

イネ科の植物は、流れるような動きがとても綺麗です。土台をワイヤーにすることで、自由に変形でき、その動きを思うように表現することができます。

材料

写真上段左から
赤づる…2本ほど
アワ…5本
イネ…50〜60本
コーリャン(タカキビ)…1本
グラスペニセタム…5本
綿(茶)…3個
パンパスグラス…3〜4cm幅長さ15cmほどの束を3個
ワイヤー(18番)…2本  

写真下段左から
フレイクチョコラータ(ヒエ)…2本
スモークグラス…3本
古代米…20本
フローラルテープ(オリーブグリーン) 
金ワイヤー(28番)

つくり方
1.土台にする18番のワイヤーを2本まとめてフローラルテープで巻く。つくりたい形にワイヤーを弓形に曲げる。

2.ワイヤー土台の左端から金ワイヤーで花材を巻きつけていく。最初は垂れ下がりやすいイネを10〜15本ほどまとめて巻く。金ワイヤーは切らずに次の花材へと続ける。

3.巻く部分を少しずつ右にずらしながら、重なりすぎないよう種類ごとに好きな順番に巻いていく。このとき、植物の穂先が重ならないよう少しずつずらして巻く。

きっちり巻く。

4.同じ種類が隣どうしにならないように巻いていく。

5.土台の3分の2まで巻いたら逆側にも植物を巻く。

6.逆側は、同じ位置に花材ごとに巻いていく。

7.逆側もでき上がった状態。

8.花材を束ねたところに綿を置いて、リースに沿わせるように枝部分を金ワイヤーで巻きつける。これで月形リースの完成。

9.赤づるを丸めて1か所を金ワイヤーで留めておく。

10.綿を巻いた部分の端を中心にして、月形リースを金ワイヤーで5~6回巻いて、赤づるに括りつける。

11. つるの形にあわせて不安定な箇所は何か所か金ワイヤーで括りつけてでき上がり。

月形リースの土台をワイヤーにしているので、自由に形を変えることができる。

 

スワッグにするとクールな印象に

今回つくったのはワイヤー土台のリースでしたが、好きなように束ねてスワッグにしても素敵です。スワッグにすると、イネ科の縦のラインが生かされて、すこしクールなイメージになります。ご自宅の雰囲気に合わせて形を色々と変えてみてください。

今回使った植物は、綿以外は全てイネ科の植物です。花材としてのイメージがあまりないかもしれませんが、落ち着いた色合いやサラサラと揺れる動き、ふわっと風になびく空気感がとても魅力的で、ぜひ室内でも楽しみたい花材のひとつです。

普段は、食べ物として食卓に上った姿や、田んぼや畑、野原などで風と共に揺れる姿しか見ることがないかもしれません。日本人だからでしょうか、イネ科の植物を見ていると、何とも言えぬ穏やかで懐かしい気持ちになるのです。

 

つくりら編集部よりお知らせ

NEROLIDOLの猪飼牧子さんとフォトグラファーの清水美由紀さんの連載、「二十四節気 暦のレシピ」は、大幅な新規取材を加えて、書籍『二十四節気 暦のレシピ』としてみなさまにお届けします。

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