印つけの道具(2)|透明フィルムやサンドペーパー、化粧用パウダーの容器など、図案を写すための工夫とアイデア。

文:安田由美子(もったいないかあさん NEEDLEWORK LAB)

図案を写す話の続きです。布用複写紙やペンタイプの道具のほかにも、いろいろ試してみました。

▲ステンシルシート(右上)とパフつきケース。黒や濃い色の布には白い胡粉を、白や薄い色の布に写すときは青いチャコナーのパウダーを入れて使う。

 

図案を写しやすくする工夫

複写紙を使う場合、図案の上に載せて、図案や転写紙が破れないように透明な薄いシート状のもので保護します。
昔の本ではよくセロファンと書かれていましたが、今ですと、商品のパッケージや花束を包むフィルムのようなOPPフィルム(OPPシート)がよいですね。
捨てないで折らないようにして取っておくといいですよ。

図案を写すとき布の下には耐水ペーパー(サンドペーパー)を敷くと、布が動かなくなっていいです。
私は800番か1000番くらいを使っています。

複写紙に上から力を加えて布に図案を写すときは、先が丸いペンのようなもので書くようにします。
「鉄筆」と書かれていることもありますが、今はなかなかないですね。
専用のトレーサーやトールペイントなどで使われるスタイラス、インクの終わったボールペンも使えます。
水で消える布用複写紙で写したものを消すときは、水筆を使うと細かい部分にも届いて作業がはかどります。
霧を吹いたり、ぬらした綿棒でたたいてもよいですよ。

 

昔ながらの方法――粉を使う

日本には昔から、柿渋をしみこませた渋紙を切り抜いたり、ごく小さな丸い穴を開け、胡粉をすり込む写し方があります。

▲(左)固型白粉。白色顔料を圧縮成型したもの。(右)日本画用絵の具の水飛胡粉。日本の伝統の白でイタボ牡蠣の貝殻を粉末状にしたもの。/ナカガワ胡粉絵具株式会社 

今ですと、ステンシルシートがありますね。
デザインカッターで切り抜いたものを使うと楽です。
たくさん同じ図案を使うときに特に便利です。

切り抜いた穴に熱で消えるペンや水で消えるペンで印を付けてもいいですし、粉状の胡粉(画材)や洋裁用のチャコナーの粉末(白、青、赤、黄)も使えます。

刷り込む方法は、粉が散らなくてよいので、私は数年前からUVカット用パウダーなどを入れるパフの付いた容器を利用しています。
ふたもついていて保管も便利です。
フェルトやウールの生地をくるくると丸めて、器に入れた胡粉を含ませ図案を切り抜いた型を当てて、すりこんでもいいですよ。

生地に図案を写さないで刺す方法もあります。
ピーシングペーパーに図案を写してから、布に仮止めし、ピーシングペーパーごと刺しゅうをしてから破って取り除く方法もあります。
和紙などを使ってもできますが、パッチワークで使うピーシングペーパーはアイロンで軽く接着できるので少しパリッとして、刺繍枠無しで刺すことができます。
ハンカチの角で枠がはめられないときにも便利です。

写し取ったシート状のものと一緒に刺す方法としては、水で溶けるシートを使う方法もあります。
こちらは水に浸しても大丈夫な布に使えます。 

また、不織布やメッシュのシートに写した図案を水で消えるペンなどでなぞることで布に写す方法もあります。
縫いじつけの要領で図案を写したり、おしろいを溶いて筆で図案を書いた紙の裏に塗って、転写したりする方法もあります。
生地や目的、また、自分に合った方法を選んで、写すのが苦にならなくなれば、ますます刺繍が楽しくなりますね。