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第2回 運針(前編)|縫いたいところを適度な針目で縫えて、思ったように針を自由に動かせる。そのための練習が「運針」です。

「大人の家庭科」お裁縫編、第2回目は「運針(うんしん)」です。

文:安田由美子(針仕事研究家 NEEDLEWORK LAB)  撮影:天野憲仁(日本文芸社)

運針とは?

縫い物の基礎といわれて一番最初に思い浮かぶのは、「運針」ではないでしょうか。並縫いとも呼ばれる、あの、ちくちく、という言葉で表現される針の運び方です。

運針は、和裁の本を読んでいると、「ぐし縫い」ともいうと書かれています。洋裁では、袖をつけるときに袖山の長さを縮めるためにギャザーにならないように細かく縫うこと、つまり「いせを入れる」という作業をするときの縫い方を「ぐし縫い」といって、運針とは区別しています。


▲運針。生地は晒(さらし)。


▲ウール地にした「ぐし縫い」。洋裁で袖山を「いせ込む」ときなどに使われる。

洋裁ではほとんどミシンを使いますが、やはり運針は基本です。上手にずれないように、縫いたいところを適度な針目で縫えるよう、針を自由に思ったように動かせることが「縫い物の基本」だからではないでしょうか。

昔、女学校ではお裁縫の授業が始まる前に晒に運針をしてから始めたという話を聞きました。野球でいえばキャッチボールのようですね。ちょうど縫い物のウォームアップといったところでしょうか。

 

運針の針の持ち方

指ぬきに関しては第1回めの「指ぬきとシンブル」で書きました。指ぬきを使わないで運針すると針の頭をしっかり押すこともできませんし、指も傷つきます。まず、自分に合った指ぬきを用意しましょう。

運針の場合、まず、針の長さと自分の指の長さ、そして、中指を曲げたときに針があたる指ぬきの位置が自分にとってやりやすいことが大事です。針の長さは指にあった長さで、といわれても、実際はどれくらいかなと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

必ずしもこれ、とはいえませんが、一般的に運針のしやすい針の長さの例です。針の頭を指ぬきに当てて、針をつまんで持ったとき、親指と人指し指はなるべく伸ばした形で、人指し指から針の先が少し出ているくらいが縫いやすいようです。ただ、人によってやりやすさというのは変わります。

長すぎる例

ちょうどいい例

短すぎる例

 

針の選び方

和針の木綿を縫う針でいえば、三ノ二、絹だったら四ノ二くらいが女性が使う針の長さの標準のようですね。お裁縫セットにはこの針がセットされていることが多いです。最初の数字が針の太さで、ノのあとの後ろの数字が針の長さです。三ノ二といった場合は、三は木綿向きの太さ、四は絹向きの太さです。

手が小さい方なら、三ノ一、四ノ一、手の大きい方、指の長い方、男性などは三ノ三、四ノ三、四ノ三半、など手と持ち方に合わせて選びます(針の呼び方はメーカーによって違うこともあります)。

メリケン針で縫うこともあります。木綿ですと太さは6号から7号くらいで縫います。短いもの長いものがあるものの、和針ほど長さがたくさん用意されているわけではありません。使いやすい長さのもの使います。

メリケン針はもともと毛織物を縫うのに適していますので、針先の方までわりと太いままで、先端あたりで急に細くなる形です。和針は先に向かってスッーと細くなる形ですので、針通りがよいです。好みや縫いやすいと思うものを使いましょう。


▲和針。左から三ノ二、四ノ二、四ノ三半


▲メリケン針。上段が短い針で下段が長い針。ともに左から6、7、8、9号。


▲針の先を比較 左から、メリケン針、和針、フランス刺繡針。

後編では運針のしかたを説明しています。

 

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