更新日: 2019/10/21
旬の果実を使った副菜のアイデアを中川たまさんの著書『季節の果実をめぐる114の愛で方、食べ方』からご紹介します。
文:中川たま 撮影:宮濱祐美子
朝晩、いく分涼しくなってきました。駅前のスーパーでは、幸水や豊水を見かけるようになり、秋っぽさが深まってきます。
私にとって梨といえば、小さなころから慣れ親しんだ薄い黄緑色の二十世紀。清々しい酸味と甘みのバランスが取れた果汁が好きでした。幸水や豊水は、関東に来てから覚えた味。全体的に穏やかで大人しい感じ。二十世紀で育った私にはいささか物足りない印象で、あまり手に取ることはありませんでした。
でも、知人がカレーの付け合わせに作ってくれた、幸水とルッコラをシンプルなドレッシングで和えたサラダがとても美味しくて……。少しの酸味とオイル、塩を加えると、大人しい幸水がイキイキと輝いて見えました。私の幸水の概念を大きく変える出会いでした。
秋の気配を感じさせる清らかな酸味が調和する
<材料> 2人分
和梨…1/2個
れんこん…中1節
A 太白ごま油…大さじ1
煎り酒…小さじ1
すだち…2個
<作り方>
【1】れんこんは皮をむいて薄切りにし、酢水に5分さらして熱湯でさっと湯がき、水気をきる。梨は半分に切って芯を取り、皮をむいて薄いいちょう切りにする。
【2】ボウルに1とAを入れてすだちの果汁を搾り、皮を適量すりおろしてよく和える。
【書誌情報】
『季節の果実をめぐる114の愛で方、食べ方』
中川たま著
春夏秋冬の果実ごとに、生のまま料理に使うフレッシュメニューと、保存が効くストックメニュー、ストックを使って作るアレンジメニューのほか、果実を使った季節の食卓をご紹介しています。
食べるだけでなく、旬の恵みを存分に堪能するアイデアを綴った著者のショートエッセイ付きです。
中川たま
料理家。神奈川県・逗子で、夫と大学生の娘と暮らす。自然食品店勤務後、ケータリングユニット「にぎにぎ」を経て、2008年に独立。旬の食材を活かしたレシピや、洗練されたスタイリングを書籍や雑誌などで提案している。 地元・逗子を拠点にイベントにも精力的に参加し、ジャムなどの保存食を提供するほか、伝統を受け継ぎながら今の暮らしに寄り添い、季節のエッセンスを加えた手仕事に日々勤しむ。 著書に『一汁二菜の朝ごはん』(成美堂出版)、『暦の手仕事』『旬弁当』『季節の果実をめぐる114の愛で方、食べ方』(すべて日本文芸社)、『私の好きなサラダの食べ方』(グラフィック社)、『たまさんちのおおらかなおやつ』(家の光協会)などがある。