「どんな瞬間にも美しさが宿っている」と気づくこと|編集後記 第7話

斎藤由美さんが『パリスタイルで愉しむ 花生活12か月』を通じて伝えたかったこと。フリー編集者・須藤敦子さんが由美さんから受け取ったメッセージを凝縮した編集後記の最終話です。

撮影:斎藤由美 文:須藤敦子、つくりら編集部

『パリスタイルで愉しむ 花生活12か月』の表紙の花は、チューリップ。ピントの合った一輪のチューリップは、咲きたてというより、すこししおれています。

表紙カバーにどの写真を使うか。いくつかの案がありました。どの写真も魅力的だったのですが、最終的にこのしおれたチューリップが選ばれたことが、この本を象徴しているように思います。なぜなら、この本を通じて由美さんが伝えたかったことのひとつが、「朽ちていく姿の美しさ」だったからです。

そんな思いもあり、チューリップの月、3月の文章は2つ書いてもらいました。「朽ちていく花の美しさを愛でる」という題をつけた文章の中で由美さんは、チューリップはしおれていく姿がハッとするほど魅力的で、すっかり枯れてしまうまで変化を愉しんでいると綴っています。

朽ちていく花の美しさを愛でる『パリスタイルで愉しむ 花生活12か月』より

「どんな瞬間にも美しさが宿っていることに気づいたら、年齢を重ねることを恐れずに、そのときどきを謳歌していこうと思えます」。これは、この本のプロローグに由美さんが書いた文章ですが、私自身、この言葉に共感し、そして、とても励まされました。

花であれ、人であれ、「どんな瞬間にも美しさが宿っている」。

そう気づくことで、心の持ちようも、ものの見方もずいぶん変わります。

『パリスタイルで愉しむ 花生活12か月』は、花の本であって、花の本にあらず。うつろう季節に合わせてページをめくれば、そのときどきの「美しい姿や言葉」に出会える本です。自分自身の心境や変化によって、心に響く言葉も写真も変わります。

読み返すたびに新しい発見がある、人生の愛読書。つくりらの連載、そして書籍の編集を通じ、斎藤由美さんに伴走してきた私ですが、この『パリスタイルで愉しむ 花生活12か月』という本が、私の人生の伴走者となりました。

Instagram:@tsukurira0714

【書誌情報】
『パリスタイルで愉しむ 花生活12か月』
著者:斎藤由美『パリスタイルで愉しむ 花生活12か月』パリ在住のフラワーデザイナー、フォトエッセイストとして活躍する斎藤由美さんが、「花のある暮らし」をテーマに12か月の花を紹介します。
華やかな作品や暮らしに溶け込む花あしらいなど、パリの街に咲き誇る花々の美しい表情を切り取った、たくさんの写真とともにお伝えします。
すぐにでも生活に取り入れられる花活けのテクニックや、由美さんがいち早く日本に広めたシャンペトルブーケに、コンポジション・スペシャル、キューブワークのプロセス解説も。
20年以上パリに暮らし、由美さんが感じた、個性を重んじるフランスの生き方や、花と人、真の豊かさについて綴るエッセイに、心豊かに生きるヒントを見つけることでしょう。ページをめくるたびにパリのエスプリも感じる、心のエステになる一冊です。

おすすめコラム