1冊の本を企画するときに行うこと、考えること|編集後記 第2話

『パリスタイルで愉しむ 花生活12か月』の編集後記2回目は、フリー編集者・須藤敦子さんの企画の立て方について。連載・編集作業にあたり、須藤さんのお仕事の手順が垣間見られる貴重な機会です。企画に悩む人のヒントにもなるでしょう。

撮影:斎藤由美、須藤敦子 文:須藤敦子、つくりら編集部

実は連載を企画する時点で、連載をまとめて1冊の本にする、という計画がありました。実作業としては「連載をまとめて、本にする」のですが、企画の立て方は逆で、「1冊の本にするために、どういう連載にしたらいいか」だったのです。

私の場合、企画を考えるときは、まずA4の裏紙にいろんなことを書いていきます。なるべくかしこまらないように、使うのはあえて裏紙。そこに頭に浮かんだ雑多な考えを書きなぐります。図だったり、文字だったり、思いつくままにどんどん。これは私にとって一種の「通過儀式」で、脳裏をよぎった「考えのかけら」を、沼底の深いところまで探し求めに行くような感じです。

『パリスタイルで愉しむ 花生活12か月』編集後記資料

この段階でできた手書きのラフは、実際に編集制作を進めるなかで、判断に迷ったとき、原点に立ち戻りたいときに必ず見直すようにしています。いわば、出発点、最初の着想でもあり、自分自身がブレないための指針でもあるのです。

特にどういう本にしたいかは、何度も言葉にしてみます。「手書きラフ」を改めて見直すと、そこにはこんな言葉がありました。

「季節の花をどうやっておしゃれに自分らしく、毎日の生活に取り入れるのかのヒントがたくさんつまっている本にしたい」

 

「その季節になったら、そうだ、この花を使ってこんなふうに花あしらいを楽しもう、と思ってもらえる本にしたい」

 

「『花があったら、暮らしはもっと輝く』ということが、ほんのりと、じんわりと伝わってくるような本にしたい」

どういう本にしたいのかを言葉にしていくと、どんなビジュアルがいいのか、どんなストーリーが喜ばれるのか、が見えてきます。毎月発信できる連載では、月ごとにその季節を代表する花を決めて、ストーリーはその花に関するエピソードや、読者が真似できるような身近なアイデアを盛り込もう。こんなふうにして、ざっくりとした書籍の方向性と、連載のコンテンツが固まっていきました。

Instagram:@tsukurira0714

【書誌情報】
『パリスタイルで愉しむ 花生活12か月』
著者:斎藤由美『パリスタイルで愉しむ 花生活12か月』

パリ在住のフラワーデザイナー、フォトエッセイストとして活躍する斎藤由美さんが、「花のある暮らし」をテーマに12か月の花を紹介します。
華やかな作品や暮らしに溶け込む花あしらいなど、パリの街に咲き誇る花々の美しい表情を切り取った、たくさんの写真とともにお伝えします。
すぐにでも生活に取り入れられる花活けのテクニックや、由美さんがいち早く日本に広めたシャンペトルブーケに、コンポジション・スペシャル、キューブワークのプロセス解説も。
20年以上パリに暮らし、由美さんが感じた、個性を重んじるフランスの生き方や、花と人、真の豊かさについて綴るエッセイに、心豊かに生きるヒントを見つけることでしょう。ページをめくるたびにパリのエスプリも感じる、心のエステになる一冊です。