本づくりがスタート。ワンチームで、話して決める|編集後記 第3話

コロナ禍によってオンラインミーティングが一般的になりました。『パリスタイルで愉しむ 花生活12か月』の制作過程においても欠かせないツールとなり、パリ・東京を結び、打合せを重ねました。編集後記3回目は、キックオフミーティングまでのお話です。

撮影:斎藤由美 文:須藤敦子、つくりら編集部

さて、実際の本づくり。由美さんの本は、当初、連載が終わってすぐ、2021年2月の発売を考えていました。2020年の秋に由美さんが日本に一時帰国されるかも、という可能性もあったので、そのタイミングで、日本で追加撮影もできれば、と思っていたのです。

しかし、コロナ禍は私たちが思っていた以上に深刻で、由美さんの帰国の話は早々に消え、2020年7月の段階で、発売は2021年の5月に延期されました(実際には、その後さらに延期され、7月発売となったのですが)。

まさにコロナ禍での本づくりとなりました。大まかな書籍の方向性は決まっているとはいえ、実際にページを構成していくとなると、連載に登場した写真だけではとても足りません。日本で由美さんに実演してもらい、アレンジメントの工程カットを撮影する、という可能性はゼロパーセント。撮影という、本づくりにおいて大事な「現場」に、担当編集者がまったく立ち会えない、という悲しい事態になりました。

こうとなったら、由美さんの力を100%以上お借りして、本づくりを進めていくほかはありません。私は、由美さんを交えて制作チーム全員でオンラインミーティングを持つことにしました。本のコンセプトに添いながら、どうやってページを構成していくか。その部分をいったんゼロベースから話し合って、みんなで積み上げよう。「急がば回れ」で、このプロセスを踏むことで、後々の判断に迷いがでないだろう。そう判断したのでした。

 

「ブックデザイナー」の存在とは?

ここで重要となってくるのが、ブックデザイナーの存在です。書籍でも雑誌でも、ブックデザイナー、アートディレクションを誰に頼むかで、でき上がりが大きく変わります。私は、『二十四節気 暦のレシピ』でブックデザインを担当してくれた高橋倫代さんに由美さんの本を託しました。

高橋さんは、まとまりのつかない私の話を、メモを取りつつ熱心に聞いてくれて、「それってこんなことですか?」と、ズバッと「解」を見せてくれます。私にとっては、的確な処方箋を出してくれるお医者さんみたいなデザイナーなのです。

『パリスタイルで愉しむ 花生活12か月』より

オンラインミーティングは、2020年の10月から始まりました。コロナ禍によりオンラインでの打ち合わせが日常となり、パリと東京をつなぐこともごく自然にできるように。危機に直面した人間の知恵と執念が進歩を生んだな、としみじみ思いました。打ち合わせの時間は、東京の夕方、パリの夜明け。画面越しに由美さんが見せてくれたパリの朝焼けの美しかったこと!

初回の打ち合わせでは、ざっくばらんに「どんな本にしたいか?」を出し合いました。
「遊び心のあるもの」「おしゃれでわかりやすい」「ワクワクするような本」「インパクトのあるページ」「余白を生かしたページ」「パリ的な雰囲気が漂うもの」「空想旅行を楽しんでもらえるような」「ハードルは低いが、つくっているものはおしゃれ」「お部屋に置いておきたくなる本」「美しいオブジェのような本」……いろんな意見が飛び交いました。

とくに装丁については、由美さんのはっきりしたイメージがありました。

「表紙は地味めがいいです。地はグレーで、文字は活版印刷で……」。

どこまで実現できるかどうかはさておき、私はこの時点で、今回の本は上製本(じょうせいぼん、ハードカバー)にしたいと強く思いました。この上製本へのこだわりが、後々、多くの時間を費やすこととなるのですが……。

Instagram:@tsukurira0714

【書誌情報】
『パリスタイルで愉しむ 花生活12か月』
著者:斎藤由美『パリスタイルで愉しむ 花生活12か月』パリ在住のフラワーデザイナー、フォトエッセイストとして活躍する斎藤由美さんが、「花のある暮らし」をテーマに12か月の花を紹介します。
華やかな作品や暮らしに溶け込む花あしらいなど、パリの街に咲き誇る花々の美しい表情を切り取った、たくさんの写真とともにお伝えします。
すぐにでも生活に取り入れられる花活けのテクニックや、由美さんがいち早く日本に広めたシャンペトルブーケに、コンポジション・スペシャル、キューブワークのプロセス解説も。
20年以上パリに暮らし、由美さんが感じた、個性を重んじるフランスの生き方や、花と人、真の豊かさについて綴るエッセイに、心豊かに生きるヒントを見つけることでしょう。ページをめくるたびにパリのエスプリも感じる、心のエステになる一冊です。