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佐東 玲さん(前編)|針一本で繊細なレースモチーフが編める! ニードルタティングという新しい世界

佐東 玲さん(前編)|針一本で繊細なレースモチーフが編める! ニードルタティングという新しい世界

一本の針を使ってレースを編んでいくニードルタティングは、まだあまり浸透していないタティングの技法です。この春、初の教本ともいえる『はじめてのニードルタティング 針一本でできるモチーフ・リボン・ドイリー』を上梓した佐東玲さんに、タティングを始めたきっかけや本への思いについてお話を伺いました。前編・後編2回にわけてお届けします。

撮影:奥 陽子 取材・文:庄司靖子 協力:Studio Bouquet

タティングレースとは、レース編みの技法のひとつです。シャトルという用具を用いて編んでいく方法がメジャーで、いくつものループが連続で組み合わさった模様は繊細で可憐。そんなタティングレースですが、シャトルを使った編み方が難しく、なかなか理解できない、という方もいるのではないでしょうか。

『はじめてのニードルタティング 針一本でできるモチーフ・リボン・ドイリー』の著者、佐東玲さんも、そのひとりでした。


▲『はじめてのニードルタティング』に掲載された作品たち。白やアイボリーを貴重とした可憐で美しいモチーフが並ぶ。

 

流行りのブレスレットがきっかけ

佐東さんとタティングレースとの出会いは5年ほど前。
「クルチアーニのブレスレットが流行ったとき、ほしくていろいろ見たのですが高くて。それなら自分でつくれないかなと思い、つくり方を探すことにしたんです」


▲ブレスレットは掲載作品「Flower bracelet」。クルチアーニのブレスレットがほしいというところから始まった佐東さんのタティングレース。身につけるものをつくりたい、というのが作品づくりの原動力となっている。

インターネットで“レース ブレスレット”と検索すると、クロッシェやボビンレースなど、いろいろな手法でつくられたブレスレットが出てきました。そのなかで佐東さんが強く惹かれたのがタティングレースでした。「こんなレースが編めるんだ!」と驚いたと言います。


▲少し複雑そうに見えるモチーフも、基本の編み方をマスターすれば編めるようになる、と佐東さん。著書では、基本作品とアレンジ作品を見開きページに並べているものもあるので、段階を追って難易度を上げていくのもよさそう。

もともと、服や下着などに施された高級感のあるレースが好きという佐東さんは、可憐なタティングレースの世界にすっかり魅了されていきました。そしてさっそくシャトルを手に入れ、タティングに挑戦。ところが編み方を理解できずイライラがつのり、1か月ほどシャトルを放置してしまいました。そんなあるとき、「動画がアップされているかもしれない」と思いつき、インターネットでタティングの動画を検索。果たして、編み方の動画がたくさん見つかりました。さらに詳しく調べていくうち、針を使って編むニードルタティングという技法にたどり着いたのです。


▲編集部からの要望も採り入れてデザインした連続模様のリボンモチーフ。洋服の襟元につけたりブレスレットにしたり、用途に合わせて使える。センターにビーズを施したレースはカチュームをイメージしてつくったもの。

 

ニードルタティング用の針を探す

「手芸店に行けばニードルタティングの針が置いてあると思ってさっそく近所のお店に行きました。ところが扱ってないといわれてしまって・・・。仕方がないので、似たようなもので代用しようと、ぬいぐるみ針を買いました。糸の知識もなかったので、お店の人にどういう糸が合うか相談したら、20番のレース糸を勧められ、買って帰りました」

そのときのことを「運がよかった」と振り返る佐東さん。「あのとき、40番(20番より細い糸)を勧められていたら、投げていたかもしれないですね」と笑います。「動画を参考に針で編んでみたら、すぐに理解できたんです。おもしろくて、どんどんつくるようになりました」

ニードルタティングを始めて3か月ほど経ったときのこと。「タティングレースができたのが嬉しくて両親に見せたんです。そうしたら、せっかく編むなら専用の針を買ったら?と背中を押してくれて、オンラインショップで購入しました」。


▲ニードルタティングの専用針。ケースつきで3、5、7、8号がセットになっているものもある。


▲ピコットにビーズが入ったデザインは佐東さんの提案でつくられたもの。

 

シャトルと針では“リング”の編み方が違う

ニードルタティングの楽しさを知り、夢中になっていった佐東さんは、ある程度編めるようになったところで、今度はシャトルの編み図を使って針で編んでみました。すると、できあがりが平らにならず、中央が浮いてしまいました。

「改めて編んだものを見たら、何かおかしいんです。なぜ同じタティングなのに仕上がりが違うんだろうと悩み、シャトルの本をじっくり読み返してみました。そうしたら、シャトルと針とでは、リング(ダブルステッチが一周した円)の編み方が全く違うことがわかったのです」

実はニードルタティングでリングをつくるときは“モックリング”という編み方が一般的で、佐東さんも動画でその編み方を覚えました。ところがシャトルでは“リング”という編み方が一般的。シャトルも針も、編み図は同じなので、編み方が違うことに気がつかなかったのです。“モックリング”で編むなら、目数を変えなければいけなかった、ということを理解した佐東さんですが、ここで目数を変えるのではなく、逆にシャトルの編み方“リング”を針で編むにはどうしたらよいかを考え始めました。

 

“リング”でつくるニードルタティングの誕生

そして、ニードルタティングの新しい編み方を思いつきました。現在、佐東さんが提案する“リング”でつくるニードルタティングの誕生です。

「針を使ってシャトルと同じ編み方で編めば、シャトルの編み図で編めますよね。そのように変換していく技術を身につけようと思ったんです」。こうして編み方を変えることで、中央が浮いてしまった作品もきれいに完成させることができました。


▲掲載作品の編み方はすべて“リング”という手法を使用しているが、ニードルタティングの一般的な編み方“モックリング”の編み方も紹介している。

 

タティングを編むときのポイント

「多くの方に、ニードルタティングに興味を持ってもらいたい」という佐東さんに、タティングを編むときのポイントを教えてもらいました。

まずは、針に糸を通すときのコツです。
糸端は斜めにカットします。

糸通しを針の穴に入れます。糸は糸通しに長く入れず、先だけ入れてすぐに糸通しを引くのがポイントです。

 

針と糸の太さの相性を知ることが大事

次に、きれいな作品を編むために知っておきたい針と糸の組み合わせについて教えてもらいました。

「針と糸には相性があって、それは太さなんです。針と糸の太さが合わなかったためにうまく編めず、ニードルタティングを諦めてしまうのは残念ですから、ぜひこの相性を知っておいてもらいたいです」

下の写真の針と糸の太さは、それぞれ写真左が5号と20番、右が7号と40番。「基本的には針の太さと同じくらいの太さの糸が望ましいですが、針よりも少し太めの糸でもよいでしょう」

それぞれ適した針と糸の太さでダブルステッチ(基本となる編み方)を編んだところ。

後編では、著書『はじめてのニードルタティング 針一本でできるモチーフ・リボン・ドイリー』を制作したときのエピソードや今後のニードルタティングとの関わり方についてお花を伺います。

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