古代ローマから愛用された薬用植物のラベンダー|芒種『二十四節気 暦のレシピ』

古代ローマから愛用された薬用植物のラベンダー|芒種『二十四節気 暦のレシピ』

田植えの祭りに暦の入梅。紫陽花に柔らかな雨が降る頃。

文:猪飼牧子 撮影:清水美由紀 文・つくりら編集部

明日6月6日から二十四節気は芒種です。

芒種の「芒」という字は「のぎ」と読み、稲や麦などイネ科の植物のトゲのような細い毛の部分を指します。日本においてこの時季は、芒がある植物と関係の深い季節。麦は収穫の時季を迎え、稲は種を蒔きました。現在は稲の品種改良も進み、田植えはもっと早いですが、昔は梅雨入り前に行われていたそうです。

 

心も体も落ち着かせる薬用植物のラベンダーは古代ローマから愛用された

爽やかな初夏の陽気はだんだんと影を潜め、湿り気のある空気を含んだ蒸し暑い日が増えてくる頃。そんなじめじめとした空気を吹き飛ばしてくれる植物といえばラベンダーです。湿度も気温も高い日本の気候ではなかなか育てるのが難しかったのですが、現在はその気候にも耐えうる強い品種も生まれ、全国各地で栽培されるようになりました。

ラベンダー 芒種『二十四節気 暦のレシピ』より

ラベンダーはシソ科ラヴァンドラ属、地中海沿岸原産。アロマセラピーやハーブの代名詞といっていいほど有名な薬用植物です。すぐれた鎮静、鎮痙作用に加え、抗菌作用も持ち合わせています。古代ローマでは、傷の手当てなどにラベンダーの花を浮かせて浴(もくよく)していたとか。なんと贅沢(ぜいたく)なことでしょう。

ラベンダーは品種が多いことでも有名で、香りも品種によってかなり異なるため、使用目的に応じて精油を選ぶ必要があります。もっとも代表的な品種はラベンダーアングスティフォリア(別名は真正ラベンダー)。細い華奢な茎の先に美しい青紫の小さな花穂が密集してつきます。この品種は鎮静作用にすぐれており、深く穏やかなリラックス状態に導いてくれる精油。その中でも、高地で育てられたものはとても香りがよく、それを用いた精油は品質もよいといわれています。

ラベンダー 芒種『二十四節気 暦のレシピ』より

主にスペインやポルトガルで栽培されている品種のラベンダースピカ(別名はスパイクラベンダー)は、頭がすっとするような清涼感のある香りが特徴。ラベンダー特有の抗菌作用に加え、体に活力を与える成分を含み、瘢痕(はんこん)形成作用もあります。そのためリラックスというよりはリフレッシュさせてくれる精油です。

そのほかにもラベンダーの精油はありますが、それぞれの品種に特徴があり、それによって効能も変わってくる、ということを知っておくと役に立ちます。

すばらしい薬効があるラベンダー。旅行にひとつ精油を持っていくとしたらラベンダーです。旅先の宿で夜寝る前、熱湯をカップに注ぎ、ラベンダーを数滴垂らせば部屋中に香りが充満します。ハンカチに1、2滴垂らしてバッグに忍ばせておけば、乗り物などのにおいが気になるときに役立ちます。植物の力で、楽しい旅がさらに快適で思い出深いものになるでしょう。

 

鎮静作用で穏やかなリラックス状態に誘うラベンダーサシェ

ラベンダーのサシェ 芒種『二十四節気 暦のレシピ』より

天然のラベンダーの香りをめいっぱい楽しめるサシェ。リネンの端切れで作った巾着袋などにドライのラベンダーの花穂を詰めるだけ。車の中やクローゼットに吊るしたり、引き出しに入れたり。柔らかめの生地でつくればアイマスクにも。

ただし、自然のままの植物なので、湿った場所に置きっぱなしにすると虫がわく場合もあるため、注意が必要です。

 

禁忌 ラベンダースピカは刺激が強いので、精油の濃度に注意してください。

*一部、再編集し掲載しています。

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【書誌情報】
『二十四節気 暦のレシピ』
猪飼牧子・清水美由紀 著「二十四節気 暦のレシピ」古くから季節を表す言葉「二十四節気 七十二候」をテーマに、季節の移り変わりを花や植物で感じながら、ものづくりの楽しみを提案。
小さな変化を繰り返しながら、季節とともに四季をたどっていく植物。その時季の植物をアレンジメントや料理やおやつに生かしたり、心と体を健やかするハーブやアロマを活用したり、ちょっとしたおもてなしの小物をつくったり。二十四節気を植物とものづくりで体感できるアイデアとレシピ120を紹介します。

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