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節の話「春の七草」|小寒

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制作・文:猪飼牧子 撮影:清水美由紀 文・つくりら編集部

明日1月5日から二十四節気は小寒(しょうかん)です。
寒の入りを迎え、地表が凍り、北風と降雪でさらに冷え込みます。
『二十四節気 暦のレシピ』から節の話「春の七草」を紹介します。

お正月明けのこの時季、1月7日には中国から伝わった五節句の1つ、人日(じんじつ)の節句があります。七草がゆを食べ、無病息災を願う。古くから続くこの風習は有名です。

まだ雪深い季節、食料は乏しかったことでしょう。そんな時季に芽吹いた野草を摘みに行くことを若菜摘みといったそう。厳しい寒さに耐え、萌え出る七草の若葉は当時の人々にとって春への希望だったのかもしれません。

 

厳しい寒さに耐え、萌え出る若葉は次なる季節への希望

芹(せり)、薺(なずな)、御形(ごぎょう)、繁縷(はこべら)、仏の座(ほとけのざ)、菘(すずな)、蘿蔔(すずしろ)、これぞ七草

春の七草を詠んだ有名な歌です。御形はハハコグサ、繁縷はハコベ、仏の座はコオニタビラコ、菘はカブ、蘿蔔はダイコン。

芹は現在でもスーパーで栽培種が売られているのでなじみがあります。ビタミン類も多く、栄養価の高い野草です。

薺はおなじみのペンペン草の若葉です。地面にへばりつくように広がった柔らかな若葉を食します。

御形はあまりなじみがないですが、現在はヨモギで作られている草餅は、かつては御形で作られていたそう。

七草は若葉の時季にだけ採取しますが、繁縷は草質が比較的柔らかく、春過ぎまで採取できる食用の野草とされていました。

仏の座は、春先に小さなピンク色の花を咲かせるシソ科のホトケノザとは別ものです。若干混乱してしまいますが、タンポポの葉に似ており、黄色い小さな花を咲かせます。

菘はいわゆるカブ、そして蘿蔔はダイコンです。七草とはいいますが、この2つは野菜です。この2つが入るだけで七草のおいしさはだいぶ違ったのかもしれません。

私の自宅の裏庭では毎年ハコベがよく育ちます。七草がゆに入っているものを食べているときはあまり味を気にしたことがなかったのですが、単品で食べてみると、まさに野草という草っぽさ。わずかに鼻に抜ける土の香りが心地よく感じました。

湯がいてお浸しにしたり、生のまま煮物に添えたり、和食とはやはり相性がよいようです。私はあんことの組み合わせがお気に入りで、お汁粉などに生のハコベを2、3本添えます。赤茶色のあんこに、柔らかな葉の若草色が映えます。小さな白い花が咲いていたら言うことなし。七草摘みをした古代の人々も、健気な七草の姿を見て心が和んだのかもしれません。

Instagram:@tsukurira0714

【書誌情報】
『二十四節気 暦のレシピ』
猪飼牧子・清水美由紀 著

古くから季節を表す言葉「二十四節気 七十二候」をテーマに、季節の移り変わりを花や植物で感じながら、ものづくりの楽しみを提案。
小さな変化を繰り返しながら、季節とともに四季をたどっていく植物。その時季の植物をアレンジメントや料理やおやつに生かしたり、心と体を健やかするハーブやアロマを活用したり、ちょっとしたおもてなしの小物をつくったり。二十四節気を植物とものづくりで体感できるアイデアとレシピ120を紹介します。

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