秋の野山に凜として咲く青紫のリンドウは日本的情緒あふれる花|秋分

制作・文:猪飼牧子 撮影:清水美由紀 文・つくりら編集部

明日9月23日から二十四節気は秋分(しゅうぶん)です。

秋分の初日は春分初日と同じく昼と夜の長さが同じ日。この日を境に、昼の時間より夜の時間が長くなり、風景も秋らしさが深まっていきます。道ばたの草木は、気づけば落ち着いた彩りに変わり、朝晩のきりっと澄んだ空気は、急に年の暮れの近づきを感じさせ、不思議な懐かしさや寂しさを覚えたりもします。

秋分『二十四節気 暦のレシピ』より

そんな引き締まった空気の中、鮮やかな青紫の花を咲かせるリンドウは日本的情緒あふれる植物。秋の野山にすっと立ち上がるように咲くその姿は凛として美しいのです。

リンドウはリンドウ科リンドウ属。漢名では竜胆(りゅうたん・龍胆) と呼ばれ、音読みが変化してリンドウとなりました。根が竜の肝のように苦いことが名の由来となっています。

秋分・りんどう『二十四節気 暦のレシピ』より

もともとヨーロッパでは、ゲンチアナというリンドウ科の多年草の根を乾燥させて粉末にしたものを健胃薬としていました。

このゲンチアナの粉末は非常に苦く、その苦みが健胃作用をもたらしていたのです。しかし、日本ではゲンチアナを調達することが難しかったので、同じように根が苦く、しかも容易に入手できるリンドウが健胃薬として使われるようになったのでした。

園芸種としてはササリンドウ、エゾリンドウやその交配種があります。花形は釣り鐘状、または筒状。花弁は半開き、または開かない品種も多いのが特徴です。開く品種でも雨や曇りの日は閉じていて、陽の光が当たる晴れの日の昼間しか開きません。青のイメージが強いですが、白や赤紫などの柔らかな色合いのリンドウもやさしい雰囲気で人気です。

切り花としても多く出まわるリンドウですが、受粉すると花の持ちが悪くなるという性質があります。しかも受粉したその花一つでなく、そこからエチレンガスが出されることでまわりの花にまで影響が及んでしまうことも。切り花のリンドウで花の色が茶色っぽく変化しているものがあったら、その花だけ取り除いてしまいましょう。より長持ちします。

 

リンドウのドライフラワー

秋分・ドライフラワーのリンドウ『二十四節気 暦のレシピ』より

ドライフラワーとしても美しいリンドウ。つくり方のコツは2つです。

1つめは青紫の濃い花を選ぶこと。白や薄い赤紫のリンドウは変色が目立ってしまいます。2つめは花が開いているものを選ぶこと。密集したリンドウの花は蒸れやすいので、それを防ぐためです。花の色を生かしたい場合は、葉を取り除くのも一つの方法。直射日光の当たらない風通りのよい場所に吊るせば、深い青紫のドライフラワーを楽しむことができます。

Instagram:@tsukurira0714

【書誌情報】
『二十四節気 暦のレシピ』
猪飼牧子・清水美由紀 著「二十四節気 暦のレシピ」古くから季節を表す言葉「二十四節気 七十二候」をテーマに、季節の移り変わりを花や植物で感じながら、ものづくりの楽しみを提案。
小さな変化を繰り返しながら、季節とともに四季をたどっていく植物。その時季の植物をアレンジメントや料理やおやつに生かしたり、心と体を健やかするハーブやアロマを活用したり、ちょっとしたおもてなしの小物をつくったり。二十四節気を植物とものづくりで体感できるアイデアとレシピ120を紹介します。

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