ラ・ヴィ・ア・ラ・カンパーニュが提案する豊かな暮らし。『ジャムとパンのオリジナルレシピ』とTHE FACTORYに通じる思いとは?

ラ・ヴィ・ア・ラ・カンパーニュが提案する豊かな暮らし。『ジャムとパンのオリジナルレシピ』とTHE FACTORYに通じる思いとは?

撮影:清水美由紀 文:つくりら編集部

2019年。つくりら主催のワークショップは、東京・中目黒のラ・ヴィ・ア・ラ・カンパーニュのオーナー、ロシャン・シルバさんのパンづくりから始まりました。ラ・ヴィ・ア・ラ・カンパーニュの本、『ジャムとパンのオリジナルレシピ』は、このワークショップがきっかけで生まれたのです。

 

どうしてこんなにおいしいの?

シルバさんはカフェのオーナーでもあるけれど、アパレルブランド「THE FACTORY」のデザイナーでもあり、店舗設計も手がけています。多岐に渡る活動のなかからつくりら編集部が注目したのは、シルバさんがつくるジャム。果物や野菜の味がじんわりと広がる、優しくってどこか懐かしい味。この味を多くの人に紹介したい!そんな思いが募り、シルバさんのジャムのレシピブックをつくろうという企画が持ち上がりました。

 

家庭でもつくれそうな素朴なパン

シルバさんがつくるものでもう一つ、とってもシルバさんらしいものがありました。それはパンです。編集チームはみな、つくりら主催のワークショップでそのおいしさは確認済み。イタリア生まれのシルバさんがつくるチャバッタやフォカッチャは、いたって素朴。これだったら家庭でもつくれるかも。そんなふうに思わせてくれるシンプルなパンでした。

 

ジャムは魔法の調味料

「ジャムをつくっても使い切れない。残ってしまう」。この悩みは“ジャムづくりあるある”。なにかよい活用方法はないかとシルバさんに尋ねると、ジャムを使ったお料理やお菓子のアイデアが次から次へと出てきました。その組み合わせの面白さといったら!ジャムはパンに塗るもの、ヨーグルトに混ぜるもの、といった凡庸な発想の持ち主には、まさに目からウロコの大発見!こんなふうに自在にジャムを操れたら、余るどころかどんどんつくりたくなってしまいます。かくしてジャムを使った料理も、前菜からメイン、デザート&ドリンクという形で、レシピブックに“収録”されることとなったのです。

 

出版記念はTHE FACTORYのファッションショーで

梅雨の頃から足しげく、ラ・ヴィ・ア・ラ・カンパーニュの中目黒のカフェに日参し、度重なる撮影と山のようなレシピ原稿の校正に埋もれながら、ようやく本ができ上がったのは10月中旬。ちょうどシルバさんが手がけるファッションブランド、THE FACTORYの2020年春夏コレクションの真っただ中でした。

ファッションウィークで盛り上がる10月18日、THE FACTORYの2020年春夏コレクションに合わせて、できたてホヤホヤの本をお披露目することになりました。会場は東京・代官山の「TENOHA代官山&NEXT」です。

編集部が会場に駆けつけると、ラ・ヴィ・ア・ラ・カンパーニュのスタッフが忙しそうに設営中。本にサインをしているのがシルバさんです。

中央のテーブルが整いました。ジャムと一緒にずらりと本がディスプレイ。美しい。大きなガラスのベースにユーカリがラフに活けている感じがなんだかすごくシルバさんっぽいなあ。

持参したポスターを壁面に飾ります。大きいのでシワが寄らないよう慎重に。

ファッションショーのプレス受付には本のカバー写真のポスターを貼りました。

会場の軽食コーナーでは、ラ・ヴィ・ア・ラ・カンパーニュのブーランジェ、宮城大樹さんが準備中。素朴なパンがごろごろしてカフェの雰囲気そのままです。

ポスターも貼り終わり、準備完了。あとはお客様を待つばかりとなりました。

来場者にお渡しするTHE FACTORYの封筒には、1冊ずつ『ジャムとパンのオリジナルレシピ』が入っています。

会場にいらした方がさっそく本をパラパラと。嬉しい!

 

懐かしさと心地よさが漂うシルバさんの世界

2009年にスタートしたTHE FACTORYは、2020年に10周年を迎えます。手のぬくもりを感じる温かみのあるもの、コットンやリネンのくたっとした肌触り、肩の力の抜けたスローな感じを大切にしているブランドです。

会場はいちはやくコレクションの新作を見ようと集まったお客様で熱気がムンムン。ファッションメディアの方々も来ています。

ファッションショーが始まりました。2020年春夏のテーマは19世紀から20世紀にかけての南仏プロヴァンス。ランウェイには、自然のなかで暮らす日常の作業着にインスパイアされたウェアが次々と登場します。

最後はモデルさんがみんなで登場。列のなかにラ・ヴィ・ア・ラ・カンパーニュスタッフの石田さんを見つけました。大きなバッグもTHE FACTORYでデザインしたものだそう。

ショーが終るとモデルさんとシルバさんが並んで記念撮影。一列に並ぶと今回のコレクションの特徴がよくわかります。ラベンダーをキーカラーにどの色も自然の風景になじむ優しい色合い。ふわっと空気をまとったような軽やかなフォルムが印象的です。

会場には、『ジャムとパンのオリジナルレシピ』の帯にメッセージを寄せてくれた、モデルのkanacoさんの姿も。

 

衣食住まるごと豊かな暮らし

洋服であっても、カフェであっても、シルバさんのめざすものはシンプルで丁寧な暮らし。南仏の日常に溶け込んだ作業着にモダンな感性を吹き込み、誰もがまといたくなるファッションにアレンジする類い稀なセンス。それは料理でも同じことで、昔ながらの方法を大切にしながらも、素材の組み合わせやスパイスやハーブづかいで、いとも軽やかに新境地の料理を生み出してしまう。

THE FACTORYのファッションショーを堪能したら、シルバさんのレシピブックにもそのセンスの秘密が潜んでいる気がして、もう一度、じっくりページを繰りたくなりました。ジャムづくり、さて、どれから始めようかな。

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