古いものを暮らしの中に。国も時代も用途も超えて、小さな世界ができ上がります。|Favorite things 第8話(後編)

スタイリングフォトグラファー、村川麻衣さんの連載、第8話。前編では麻衣さんが一目惚れした家具や、骨董市巡りで出会った器などを紹介しました。後編では、本来の使い方を超えてユニークな姿で息づいている古いものたちのお話です。

撮影・文 村川麻衣

前編では、暮らしの中にある日本の古いものを中心にお話しました。後編では、一体何に使おうか・・・、なんとなく惹かれて買ったものやその使い方などを中心にお話したいと思います。

 

色に惹かれた鏡はトレイ代わりに

ピンクの色合いが絶妙なトレイの表は、鏡になっています。鏡ということと、この形に惹かれて買いましたが、裏のピンク色がじわじわと響いてきて、机の上のトレイ代わりに使っています。上には確かオランダのゲームの駒やフランスのままごとセットのスプーンを乗せて。国も時代も用途も超えて、小さな世界ができ上がります。

 

海綿スポンジがフィットした、ふたつき小物入れ

こちらは、京都の北野天満宮で毎月25日に開催されている「北野天満宮骨董市」で見つけた入れものです。

しばらく用途も見つからないまま、机の引き出しの中に仕舞っていました。ふとした時に海綿スポンジがぴったりのサイズということを発見!蓋もあるので乾燥も防げます。こんな風にどう使うかは後から考えたり、思いつくことが多かったりします。

 

ドーム形にしてドライフラワーを飾る

本来は逆さにして使うであろうガラス製の入れもの。季節に合わせてドライフラワーを入れて飾っています。ガラス越しに見るドライフラワーは、透明感があって、眺めていると心がクリアになる気がします。

 

黒い鉄板の板はフォトフレームに

最近よく足を運んでいる蚤の市は、京都で毎月10日に開催されている「平安蚤の市」です。一見ガラクタにしか見えないものばかりを雑多に並べているお店がお気に入りです。真ん中に正方形の穴が開いた黒い鉄製の板にヨーロッパの古い写真を合わせて飾っています。

これも上記と同じ「平安蚤の市」で見つけたものです。おそらく何かの枠だったはず。枠の中にドライフラワーを置いて撮影で使ったりしましたが、ただ置くだけでもシュッとした雰囲気があります。

 

イギリスで出逢った箱は、なんと日本製

イギリスの蚤の市で、フランスの香りがする素敵なお店が出店していました。黒いクラブの箱は芝生の上に置かれたショーケースの中に入っていたもので、一度通り過ぎてやっぱり気になって戻り買ったものです。「見せて欲しい」と言うと「日本のものなのよ」と、日本人の私が選んだことをうれしそうに微笑んでくれた2人のマダム。

中にはスタイリングやお手紙のラッピングに使うドライフラワーを入れています。

裏にはMade in Japanとゴールドで書かれた文字が。一度海を渡りイギリスへと渡ったものが、また日本へと戻ってきました。どんな景色を見てきたのでしょう。想像するだけでも楽しいものです。

 

指輪置きになったオブジェ

別々の場所で出会った円錐のオブジェは指輪置きに。出かけるとき、帰ってきたとき、さっとつけたり外したりしやすいよう、1つは玄関に。

用途に縛られず、好きなように使うことで、長い時を経てきたこれまでに、新しい風が吹くのだろうと思います。

 

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