Favorite things 第2話|何度でも行きたい!イギリスの蚤の市とカーブーツ巡りで古いものに出会う愉しみ。

スタイリング・フォトグラファーの村川麻衣さんの連載「Favorite things 世界を好きでいっぱいにする!」。第2話のテーマは古いもの。麻衣さんがイギリス滞在中に見つけたアンティークの器のエピソード、そして蚤の市やカーブーツセールの愉しみ方についてのお話です。

撮影・文:村川麻衣

イギリスの古い器の思い出

2017年の春。「美しい手工芸と暮らしのサイトをつくります。そのキービジュルを撮ってください!」という依頼が舞い込みました。それがこの「つくりら」でした。

印象的だったのは、編集者の方の「楽しみながら、自由に、好きなように撮影していただくことが一番大切なので」という言葉でした。それから数日後、私の元に寺島綾子さんのたくさんの手まり作品が届きました。絹糸でつくられた小さな作品たち、その繊細な模様と美しい色合いにうっとりしました。

ちょうどイギリスへ行く予定と重なり、撮影はイギリスで行うことになりました。私はたくさんの作品の中から、直感的に目に止まったものを選んでスーツケースにしのばせました。いくつか撮った中から選ばれたこの写真は、そのとき滞在していたイギリス・ブリストルの個人宅で撮ったものです。

この器はイギリスのParkinson Pottery(パーキンソン ポタリー)という1952年から1963年までのたった11年間しか運営されていなかった陶器ブランドのものです。そのほとんどの作品は動物や人の形をしているので、このお皿のような形はとても珍しいものです。抽象的なようでモンシロチョウの羽のようにも見え、お気に入りです。

最初はスタイリングにやわらかな色の背景や小物を使おうとイメージしたのですが、作品と同化してぼんやり見えてしまい、いまひとつ。たまたま近くにあったこの器を合わせてみたところ、作品が際立ち、全体的に力強さと存在感が出て、「これだ!」と思ったのです。寺島さんの手から生まれた作品とイギリスで生まれた器が、時代や時を経て出逢い、お互いを引き立て合っているようでした。

こちらのミモザの絵が描かれたお皿は、ブリストルにあるアンティークショップで見つけました。埃まみれの木の箱の中から、1枚だけ。淵に数カ所欠けがありますが、気にしません。むしろ、不完全なもののほうが愛おしかったりします。サラダやローストポテトなどをのせて。

 

イギリス滞在中のお目当ては蚤の市

古いものが好きな私は、イギリスで一番行きたいのが蚤の市です。イギリス西部にある港町、ブリストルに滞在したときも蚤の市に出かけました。下の写真は、ブリストルハーバーから見上げたブリストルの住宅街。カラフルな家の並びは、遠くから見たときにどれが自分の家かすぐ分かるようにだとか。

ブリストルの中心部にあるSt Nicholas Market(セント ニコラス マーケット)では毎週土曜日に小さな蚤の市が開かれます。

滞在中は毎週のように出かけ、何か面白いものはないかと見て回ります。箱にどさっと入った古いポストカードは1枚の値段を聞くよりも、5枚、10枚と選んでまとめて値段を聞くほうが安く買えると分かったのは最近のことです。

足しげく通っているうちに、お店の人と挨拶を交わすようになりました。「Have a nice day!」とウィンクつきで言われた日には、本当にいい一日が始まるような気がしてきます。

地元の方たちとコミュニケーションを取るようになると、お買いものもより楽しく感じます。

こちらはそのSt Nicholas Marketの蚤の市で見つけた鏡です。手のひらサイズくらいの小ささです。後ろにフックがついているので壁に掛けたり、手鏡としてもいいサイズ感です。そんなに古いものではないですが、経年変化が楽しみに思えるものに、つい目が止まります。

 

掘り出し物を探しにカーブーツへ

カーブーツセールと呼ばれる小さな蚤の市も見逃しません。カーブーツとは車の荷台のことで、家にある不用品を積んでそのまま売るスタイルから、そう呼ばれるようになったそう。カーブーツも、かっこいい車だと、いいものが詰まっているんじゃないかと期待も高まります。

早朝からGloucesterにあるHEMPSTED MEADOWSのカーブーツセールへ。朝から雨が降ったり止んだりの日は出店数も少なく、なかなか収穫もないのですが、お客さんも減るので、値段を聞くと予想以上にお手頃だったり、値引き交渉がしやすかったりします。

ある日曜日。早朝からカーブーツセールへ出かけました。午前6時前、駐車場はまだがらんとしています。蚤の市では、物を見つけるのに夢中で、写真を撮ることはあまりありませんが、小さな倉庫の茶・黄・赤の配色に思わずシャッターを切りました。

 

古いものはチャリティーショップにも

イギリスではチャリティーショップをよく見かけます。いわゆるセカンドショップ、中古品屋さんなのですが、恵まれない子どもたちやホームレス、難病を患う人たちへのサポート、動物福祉の団体などが運営していて、市民から無償で寄付されたものを販売しています。

こちらはBristol & District Branch / Bristol A.R.C.。市内のペットや野生動物の病気やけがなどの活動をしているお店です。

隣町のバースで見つけたチャリティーショップ、Mercy in Action Boutique Charity Shop / Mercy in Action。ストリートチルドレンのための活動をしています。

おしゃれなエリアや高級住宅街にあるお店では、状態のいい掘り出しものに出逢える確率も高いのでおすすめです。購入することで慈善事業への寄付に繋がる仕組みなのも素晴らしいなと思います。

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