ユニークな穀物の姿や佇まいを愛でるようにのびやかに活ける|処暑

制作・文:猪飼牧子 撮影:清水美由紀 文・つくりら編集部

明日8月23日から二十四節気は処暑(しょしょ)です。

残暑はまだまだ厳しいとはいえ、朝晩は過ごしやすくなってきます。灼熱の太陽にじりじりと焦がされ、熱を抱え込んでいた大地も少しずつ穏やかな顔をのぞかせるようになりました。

 

黄金色に輝く稲穂 風に揺れる美しい姿は日本の原風景

処暑『二十四節気 暦のレシピ』より

この頃からイネ科の穀物が実りはじめます。イネ科といわれてまず思い浮かぶのは、日本人にとって大切な主食であるお米。黄金色に輝く稲穂が風に揺れる美しい姿は、どこか懐かしい日本の原風景ではないでしょうか。

食用の米ばかりでなく、花材としての稲もなかなか魅力的。しなやかに揺れる稲穂は懐かしさや温かみを感じさせ、アレンジメント全体の印象を変えてくれる面白みのある花材です。

稲には、菊や松のような和の花材はもちろんのこと、秋の七草のような繊細な草花も似合います。さらに、ドライフラワーのナチュラルな雰囲気との相性も抜群。色鮮やかだった生花もくすんだドライフラワーになれば、素朴な稲とバランスがとれます。リースやスワッグなど、そのまま飾れるアレンジメントにもぴったりです。稲だけ、あるいはほかのイネ科の植物と合わせて、ブリキの水差しにざっくり活けても実りの秋らしい風情が楽しめます。

 なかでも、もともと祭りなどに使われていた野生稲(やせいとう)の特徴を持つ古代米は、食用ではなく観賞用として育てられるものも多く、穂の色が黒や赤紫、赤茶などシックな雰囲気です。素朴な印象の通常の稲に比べ、華やかな色合いの花との相性もよく、落ち着いた引き締め役になります。

 花材として稲を使うイメージはあまりないかもしれませんが、ほかにはない日本的な情緒と組み合わせの自由さが、花束やアレンジメントの幅を広げてくれるのです。

 

穀物のドライフラワーの花活け『二十四節気 暦のレシピ』より

稲や粟、麦や稗(ひえ)など穀物のドライフラワーだけの花活けは、普段の暮らしにしっくり溶け込みます。色合いは控えめですが、とんがった芒(のぎ)、ユニークな形、しだれるような佇まい、直線的で潔い姿など、種類を増やせば増やすほど奥行きが出てきます。

花器はできるだけシンプルなものを。それぞれの穀物が元気に顔を出すように、自由に活けてみましょう。ドライフラワーなので、花枯れを気にせずに飾っておけるのもうれしいところ。

Instagram:@tsukurira0714

【書誌情報】
『二十四節気 暦のレシピ』
猪飼牧子・清水美由紀 著「二十四節気 暦のレシピ」

古くから季節を表す言葉「二十四節気 七十二候」をテーマに、季節の移り変わりを花や植物で感じながら、ものづくりの楽しみを提案。
小さな変化を繰り返しながら、季節とともに四季をたどっていく植物。その時季の植物をアレンジメントや料理やおやつに生かしたり、心と体を健やかするハーブやアロマを活用したり、ちょっとしたおもてなしの小物をつくったり。二十四節気を植物とものづくりで体感できるアイデアとレシピ120を紹介します。

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