新年の福を呼び込む、稲穂のお正月飾りをつくる。|水引作家・高橋千紗さんのワークショップ(前編)

新年の福を呼び込む、稲穂のお正月飾りをつくる。|水引作家・高橋千紗さんのワークショップ(前編)

『水引で結ぶ、もてなす、いろどる。季節の小物とアクセサリー』の著者であり、現代的でおしゃれな水引の作品を発表している高橋千紗さん。代官山 蔦屋書店の料理フロアでの「ハレの日を彩るお飾り」フェアに合わせ、高橋さんによる稲穂のお正月飾りをつくるワークショップが開催されました。その様子を前編、後編の2回にわたってレポートします。

撮影:奥 陽子 取材・文:酒井絢子

水引作家・高橋千紗さんの「稲穂のお正月飾り」のワークショップに参加するため、代官山 蔦屋書店へ。8月に夏の風物詩、金魚のかんざしをつくるワークショップに参加したつくりら記者から「難易度高め」という声を聞き、若干の不安を抱えながら参加した今回。

水引を扱うのは初めてということもあり、ほかの参加者さんの足を引っ張ってしまうのでは・・・と高橋さんに伝えると、「大丈夫ですよ! 私でも今回は難しいと思うので、お一人ずつ丁寧に教えようと思っています」とのこと。

参加者も8名限定ということで、手取り足取り教えてもらえるそうと安心し、席に着きました。机上には高橋さんが木工作家さんにオーダーしたという木製トレイが置かれ、のりやはさみ、あわび結びのお手本、そして稲穂など、道具や材料が並べられています。

高橋さんの稲穂飾りには2種類あり、今回のワークショップで課題となったのは下膨れの応用あわび結び。ゆるいあわび結びの方は、短時間で完成させることができるということで「ぜひご自宅で挑戦してみてください」と高橋さん。

 

好きな色味の3本を組み合わせる

まずは水引の色を決めるところから。今回は90㎝の水引3本を使います。お正月飾りらしいのはやっぱり赤白の組み合わせ。とはいえ、同じ赤や白でも種類によって色味が違うので、それぞれ好みのものを探します。

高橋さんのアドバイスはとてもきめ細やかで、参加者さんが悩んでいても、たとえば1本のお気に入りに合う色は・・・と、3本の組み合わせを提案してくれます。同色3本でもOKですが、違う色にした方が水引の並び順がわかりやすくつくりやすいんだとか。

 

水引はねじらないように注意!

いよいよ水引の結び方のレクチャーに入ります。まずは水引の基本の結び方でもある「あわび結び」から。水引を扱う際は手の向きや指の位置が重要になってくるので、わかりやすいように手元を参加者と同じ向きにしてくれる高橋さん。

水引がねじれて並びがずれることのないよう、気をつけながら進めていきます。細くて長い水引は扱いが難しそうだと思っていたけれど、高橋さんの指先をじっくり見ながらやってみると、だんだんと慣れてきました。

バラバラだった3本が、キュッと寄り添ってまとまっていくのが心地いい!

 

形を揃えるときは、1本ずつ

高橋さんが「ふっくらとした頰をもつお多福さんをイメージした」という、あわび結びをアレンジした下膨れの部分。バランスを見ながら、内側の水引から一本ずつ順に引っ張って大きさを整えていきます。この、つまんで引っ張って揃える作業は、完成が見えてきている喜びも相まって、なんとも言えない楽しさです。

最後は極細のワイヤーで留めます。細い平ペンチでワイヤーの余った部分をキュッと引っ張ると、しっかりと留まるという小技も教えてもらいました。

気さくなお人柄で、お話も楽しい高橋さん。ワークショップの最中もそこかしこで笑いが起き、始終、記者の頬もゆるみっぱなし。

 

稲穂に結びつけて、完成! 

稲穂は白の水引で、「枝巻き」と呼ばれる枝や首部分などをつくるときにつかう水引の技法を用いて、かっちりと固定します。

下膨れのあわび結びと稲穂を、光沢のある短い水引で、固く結べる「結び切り」の結び方で固定。

吊るすときのためのフックとして、白の水引を通して輪をつくり、結び切りで留めて、完成!

好きな色を組み合わせてつくったお正月飾りは愛着もひとしお。部屋に飾れば気持ちよく新年を迎えられそうです。

後編では、代官山 蔦屋書店の料理フロアにディスプレイされた高橋さんの作品の数々をご紹介します。

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