オートクチュール刺繍のエッセンスを体感できるワークショップ Rika OGASAWARAのビーズ刺繡のブローチ 6.14(Fri)、6.16(Sun) 東京

写真協力:Rika OGASAWARA  撮影:清水美由紀(パリ取材分) 取材・文:つくりら編集部

つくりら海外スペシャルとして、取材に飛んだパリの「Aiguille en Fete(レギュイユ・オン・フェット・針の祭典)」。出展アーティストたちの個性豊かな作品に魅了されっぱなしの取材でしたが、そのなかでもひときわ美しく、取材陣の心をとらえて離さなかったのが、オートクチュール刺繍を手がけるRika OGASAWARA(小笠原里香)さんの作品です。フランスと日本を行き来しながら制作を続けるRikaさんが、6月に東京でワークショップを開催するという嬉しいニュースが舞い込みました。


▲「針の祭典」のアーティスト招待ブースに展示されたRikaさんの作品。

 

国際ジュエリー見本市・選出展示作品のつくり方も公開!

ワークショップの会場は、東京・原宿の「ザ・レースセンター原宿」。日本製やフランス製の上質なレース商品を取り扱う素敵なお店です。このレッスンで制作するのは「白いコケのブローチ」。「レースセンターさんのレースを使って仕上げる小さな白いブローチです。アンティークのビーズやパーツとワイヤーを使って、立体的に仕上げていきます。もちろん、刺繍も入れ込んでいます」(Rikaさん)


▲ワークショップの作品「白いコケのブローチ」。

ビーズあり、刺繍あり、ワイヤーワークあり、と、手工芸愛好家にはたまらない、ワクワクするような作品構成。「9年前、パリの国際ジュエリー見本市・Bijorhca(ビジョルカ)展のファッショントレンドコーナーに、私の作品、『雪の結晶ネックレス』が選出展示されました。今回のブローチのレッスンでは、そのネックレスに使った“かけら”のつくり方も教えます」

ネックレスの“かけら”とは、作品右中の六角形の雪の結晶と右下の白黒の練りガラスパーツを取りつけている雪の結晶のこと。パリの国際ジュエリー見本市に選ばれた作品の一部のつくり方を教えてもらえるなんて!プロの技が学べるまたとない機会になりそうです。


▲ワークショップ作品の素材。

さまざまな手工芸を入れ込んだ「白いコケのブローチ」ですが、嬉しいことに刺繍やアクセサリーづくりが始めての人でも参加が可能とのこと。「初心者の方でも完成できるよう指導します。部分的に創作をお手伝いしたり、同じパーツが重複しているものなどは、私があらかじめ用意したパーツを使っていただくなどして、同じ内容の完成に導きます」

 

伝統的な「ボヴェ刺繍」を受け継いだ作品展示も

Rikaさんは、オートクチュール刺繍の名門校として知られるエコール・ド・ルサージュで7つの課程を修了しました。数々のオートクチュール刺繍のなかでも特に関心を寄せたのが、「le point de Beauvais」というボヴェ刺繍。18世紀のフランス宮廷の権力者、ポンパドール夫人が自ら嗜み、創作に夢中になったといわれている伝統的な刺繍です。


▲パリのドミノペーパーブランド、アントワネットポワソンとのコラボ作品。左上のヴェネツィアのカモメのブローチのみ、Rikaさんのオリジナルデッサンの作品。

ボヴェ刺繍とリュネビル刺繍との違いをRikaさんに尋ねると、「リュネビル刺繍は、ビーズやスパンコルの場合、裏から刺しますが、ボヴェ刺繍は糸のみの刺繍で、糸の種類も決まっていて、表から刺します。そして、クロッシェの回し方、それに伴う糸の回し方がリュネビル刺繍と異なります。また、デッサンに沿うクロッシェの進行方向が複雑に決まっていて、その進行方向でステッチの具合が異なってくるのです」と説明してくれました。うーん、わかったような、わからないような・・・。かなり、やりがいがありそうです。

絵画のようなステッチの色のグラデーションも、ボヴェ刺繍の特徴のひとつ。「私は、伝統のボヴェ刺繍にオリジナリティを加えているので、作品自体は伝統の部分とそうでない部分があります」


▲2019 s/s collection ジャルダン(お庭) の作品。

ワークショップ期間中、会場ではボヴェ刺繍の作品展示と販売もあるそう。ワークショップに参加しない方でも、作品を見に行ったり、購入したりすることができます。「ワークショップ中は、レースセンターさんのスタッフの方が対応してくださいます。私も手があけば、作品の説明もいたします」

 

今夏からボヴェ刺繍のレッスンもスタート

ボヴェ刺繍を取り入れた作品制作は、今年で12年になるというRikaさんですが、今まで伝統的なボヴェ刺繍の技法をきっちり人に教えるのは躊躇していたと言います。

ボヴェ刺繍の指導にはなかなか踏み切れなかったRikaさんの背中を押したのが、「伝統を継承したい」という思い。ボヴェ刺繍は、1900年のパリ万国博覧会では、繊細さと芸術性の高さが世界から称賛を浴び、再び評価されたものの、現在はフランスでも技術後継者が少なく、その価値は大変希少なものとなっているのだそう。


▲2018 a/w collection 作品。

「クリエーションにおいては、間違いというのはありません。長い間、ボヴェ刺繍を作品の中に取り入れて、楽しみながら作品を創作して、皆様にも楽しんでいただいてきました。とはいえ、伝統技術の継承となると、話は別で、最初からきちんと指導していきたいと思っていたのです。今年、ようやくこの決心がつきまして、今夏より指導していくことになりました」

ルサージュでの刺繍技術の習得から始まり、ボヴェ刺繍の美術館に4回足を運び、その後もフランス国家最優秀職人章(M.O.F)を取得している先生に技術修正のため学んでいるというRikaさん。まさに満を持してのレッスン開講です。芸術性の極めて高い手工芸の伝承にいどむRikaさんの心意気が伝わってきます。


▲2018 a/w collection 作品。

会場では、Rikaさんが手がけた10年間の作品をセレクトした作品集『Broderie fait main comme jadis〜いにしえの手刺繍〜』も数量限定で販売。作品集では、美しい作品の数々とともに、ボヴェ刺繍の技術についても解説しているそうなので、ボヴェ刺繍の世界をもっと深く知りたい人には必見です。

 

「白いコケのブローチ」ワークショップ概要

日程: 6月14日(金)、16日(日) *14、16日が満席になりましたら、15日も開催する可能性があります。詳しくは「ザ・レースセンター原宿」さんにお問い合わせください。

開催時間: ともに13:00~17:00

場所:ザ・レースセンター原宿
東京都渋谷区神宮前3-27-7 2F
http://www.miyaco.net/lace-1930/

レッスン費:8,300円+tax (材料費込。「カフェ1930」の飲み物つき)

当日の持ち物:ハサミ

申込方法:ザ・レースセンター原宿のレッスン予約サイトもしくはお電話(03-6406-0740)で。

 

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