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花とアンティークと 第10回(前編)|小さな花束ノーズゲイと、胸元の花飾りコサージュのお話

名古屋で評判のフローリスト、フラワーノリタケの則武潤二さんと、アンティークと雑貨を扱うTisane infusionの則武有里さんとのコラボレーション・スタイリングです。第10回の前編では、小さな春の花束とコサージュをご紹介します。

フラワーアレンジ&スタイリング:則武潤二、則武有里 撮影・文:則武有里

古いものと花に囲まれて仕事をさせてもらい20年が経ちますが、先日、初めて「ノーズゲイ(nosegay)」という言葉を教えてもらいました。長年つくってきた小さな花束が、歴史を紐解いてみたら、なんとこのノーズゲイが始まりだという説を発見。調べるととっても興味深い話ばかり・・・。ということで、今回はそんなお話も交えて小さな花束をお楽しみください。

 

小さな花束、ノーズゲイ(nosegay)

時はイギリス絶対王政最盛期のチューダー朝時代。ペストなどの伝染病を防いだり、不衛生な街の不快な臭いを避けるために、香りの良いハーブや花を集めた小さな花束がつくられました。鼻(nose)を彩る(gay)もの、ということでノーズゲイ(nosegay)と呼ばれ、人々の間に広まったそうです。

このノーズゲイ、現代ではマスクのような役割に近いのかもしれませんね。花束で鼻を押さえているところを想像すると、伝染病や臭いを抑えるための大切な手段ではあるのですが、なんとも微笑しい光景ですよね。

さて、“現代のノーズゲイ”はこちら。春の陽だまりのようなやさしいパステルカラーの花束です。鼻のみならず、心まで彩ってくれることを願って。

淡いピンク色をメインにその他はグリーン、ホワイト、パープル、イエローをバランス良く。

使った花材は、左から、スイトピー、ピンクレースフラワー、ラナンキュラス、ラグラス、ブローディア、クリスマスローズ、スカビオサ、ルピナス、ケール

 

季節の“栄枯盛衰”をぎゅっと束ねて

こちらは少しシックにまとめた花束。冬の寒さを乗り越えたユーフォルビアはエンジ色が赤くてとっても綺麗です。

庭に残っていた紫蘭(シラン)の種も入れてみました。生花の中に枯れたものを?と思われるかもしれませんが、色のトーンさえ似合っていればしっくりとくるので面白いですよ。初もののアケビも入荷してきたので、蔓(ツル)ものが大好きですから最後に蔓で動きを出しています。

使った花材は、左から、スイトピー、シラー、ラケナリア、ムスカリ、ユーフォルビア、クリスマスローズ、リューココリーネ、シランの種、アケビのツル

 

白い小花の花摘みコサージュ

歴史の話に戻ります。舞台はイギリスからフランスへ。宮廷のサロン文化が花開いた18世紀、ノーズゲイを入れる容器ができました。ピンつきの小さなものは、おしゃれな胴着に取りつけて胸元の花飾りに。胴着はフランス語でコサージュ(corsage)。そう、もうおわかりですよね、胸元につける花飾りのコサージュはこうして誕生したのです。

そんな時代のコサージュに思いを巡らせ、花摘みのような小さなコサージュをつくってみました。

白い小花が集まった花はライラック、繊細なレースフラワーも入れてあります。ベルのような白い花はスノーフレーク。まん丸の蕾と銀葉のついた柔らかい茎は矢車草。ギザギザ葉っぱはゼラニューム。手前の淡い紫色の花はシラー、濃い紫色はスミレです。

花摘みをイメージしながら集めた花たちをクルクルと糸で留めてコサージュに。このままでも十分満足する可愛さなのですが、全部をまとめるとちょうど鼻を隠せるくらいのノーズゲイになりました。

最後に束ねるときは、茎はなるべく長めに残しておいたほうがまとめやすいです。特に決まりはありません。くるりんとしたところや綺麗なラインはなるべく上部、もしくは左右のどちらかにした方が全体のバランスがいいですよ。

ノーズゲイとコサージュのお話、いかがでしたか? 4月の後編ではスズランが登場します。お楽しみに!

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