手織り(前編)|縦糸と横糸の静かな交わり。少しずつ模様が浮き上がってくる喜びと達成感。講師:ichi.coさん

手織り(前編)|縦糸と横糸の静かな交わり。少しずつ模様が浮き上がってくる喜びと達成感。講師:ichi.coさん

1本の糸が布になっていく面白さを体感できる手織り。今回、おじゃましたのは、その作品のセンスの良さからじわじわとファンがふえているichi.coさんの織り物教室です。

撮影:田辺エリ 取材・文:つくりら編集部 協力:小さなお菓子教室 そらいろ*おやつの時間*

ichi.coさんの手織りのレッスンには、決まった課題作品はありません。ichi.coさんが持っていったサンプルのなかから、それぞれがつくりたいものを選ぶスタイルです。

 

シンプルな道具と美しい糸

テーブルには、木製の織り機に、櫛やフォークなど、自然素材のナチュラルな道具が並びました。シンプルなインテリアショップのような風情に、気分があがります。

レッスンで使う糸は、ichi.coさんがトルコから直輸入したキリム用の糸。鮮やかすぎず、地味すぎず。なんて美しい色合いなんでしょう!

聞けば、こちらはウール糸だそう。ウールというと、ふわっとした毛糸のイメージなのですが、こちらはキュッと引き締まっています。

「日本で一般に売られているウール糸は、ここまで強度の高い糸はあまりありません。キリムとは、トルコで織られている平織り物のことですが、主に絨毯などの敷き物に使われているので、糸も強度があって、コシがあります」

強度ということなら、麻でもいいんでしょうか? そう尋ねると、麻だと硬すぎて難しいとのこと。絶妙な毛質と強度、そして独特の色合いを求めるなら、やっぱりトルコのキリム糸。そういうことなのですね。

 

キリム糸で表現する幾何学模様

ichi.coさんが広げてくれた作品サンプルに、思わず目を見張ります。小さなコースターなのに、キリム絨毯さながらの独特の風格が漂っているのです。「織りが初めての人でも、2、3時間あれば1枚仕上がりますよ」とichi.coさん。その言葉に、さらにびっくり。

ユニークな幾何学文様が織り込まれた作品が多いのもキリムの特徴。伝統的な柄には、幸せや喜び、子孫繁栄など、様々な思いが表現されているそう。深い。

「日本は、縦糸と横糸を均等に織る平織りの文化ですが、キリムは、縦糸が見えないように織ります。私はこの織り方を便宜上、マット織りと呼んでいます」

 

好きなものを自由に織る

レッスンが始まりました。参加者は8名。レッスンに何度か通っている方、初めての方など、レベルもさまざまです。

経験者の生徒さんが使っているのは、少し大きめの織り機。縦糸に高低差をつけて隙間(杼口・ひぐち)をつくる綜絖(そうこう)がついているので、作業が早く進みます。まずは縦糸を張るところからスタートです。

こちらは、ichi.coさんが監修した小さな織り機。組み立て式の木枠に、綜絖の役割も担うスティックと、横糸を巻くシャトルがついたもの。できたてホヤホヤのこの織り機、織りは初めてという生徒さんが使ってみることに。


▲小さなマットが2つつくれる糸と、つくり方レシピがついたキットとして発売。

最初に縦糸をしっかり張り、糸始末に必要な縦糸を確保するために、枠の上下に工作用紙を入れます。今回は、シャトルは使わずに、織り用の針を使って横糸を通していきます。

レッスン中、ichi.coさんが何度も言っていた「マウンテン」という言葉。これは横糸を通すときは、ふんわりと山形にしましょう、ということ。織り進めていくと、知らず知らずのうちに横糸を引っ張ってしまいがち。この「マウンテン」は、左右が縮んでいってしまうのを防ぐための呪文、いえ、テクニックなのです。

フォークを使って、横糸をキュッと寄せます。この「キュッ」の瞬間が楽しい。

綜絖のついた織り機では、シャトルと呼ばれる、先の割れたスティックに横糸を巻きつけて、高低差のついた縦糸の隙間を通していきます。

何回かレッスンを受けた生徒さんは、模様に挑戦。三角形を入れるときは、予め赤いペンで印をつけ、それに沿って織っていきます。

この日に参加した生徒さんの作品。両端の縦糸の始末が済んだら、さっそくコースターとして使えます。

こちらも生徒さんの作品。大きな織り機を使った人は、大きな作品ができ上がりました。

レッスンの後は、ティーブレイク。「そらいろ*おやつの時間*」のレッスンでは、お菓子教室を主催する池上育代さんのお手製スイーツも楽しみのひとつです。


▲レッスン中に手ぎわよく仕込みを終え、慣れた手つきで盛りつけする池上さん。この日のスイーツは、マロンクリームがたっぷり入ったロールケーキとパンプキンプリン。

 

後編では、ichi.coさんが織りを始めたきっかけやその魅力についてお話します。

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