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ドド~ンと一品主役!夏ならではの具材で、喉もと涼しく残暑を乗り切る

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撮影:宮濱祐美子  文:太田明子

「お昼、何食べたぁい?」
「んーとねぇ~。ちゅるちゅる!」

歩道で信号待ちをしていたら、幼い女の子とママの会話が聞こえてきました。
ちゅるちゅるというと、うどんしか思い浮かばないのは、私の困った独断、えこひいきです。

というのも、幼少期から私はうどん党だったから(そば党の幼児っているのかしら)。これは赤ちゃん時代に遡り、小さく刻んだうどんの離乳食を好んだせいと母から聞かされました。唇からするするっとなめらかに入って、舌先から喉元をまるで滑り台のようにすり抜けてゆく、あの一瞬のプロセスや食感を面白おかしく楽しんでいたのだと思います。

のちに大学時代、香川県の友人ができると、喜び勇んで東京から彼女の実家に遊びに行き、二人で有名処のうどん屋をハシゴしたのもいい思い出です。

うどんは伝統食品の大本命。小麦粉に含まれるでんぷん質の粘りが特有の食感を生み、しかも茹で溶けしない性質が汁物として適しています。こねかたや気温によってシコシコ、つるつるの食感が違い、さっぱりからこってりまで味もさまざまだから、空腹時に食べる人もいれば、あまり食欲がないけれどうどんなら食べられるという人まで。

また、讃岐・稲庭の双璧以外にも、名産うどんがたくさんあります。うーめん、ほうとう、きしめん、伊勢、味噌煮込み、うどんすき、たらい、手延べ、焼きうどん、沖縄そば(これもうどん!)など、実に地方色豊か。このなかで食べたことがあるのはどれとどれ? VSそばと比較されがちですが、香りでは道を譲らざるをえないものの、そばにこれほど豊かな地域性のバリエーションがあるでしょうか。とまた、えこひいきですが。

中川たまさんの『春夏秋冬、ぎゅっと詰めて 旬弁当』の一品主役弁当が興味をそそります。冷やしうどんには、栄養バランスを考えた、蒸しとうもろこし、みょうが、釜揚げシラスのかき揚げのっけ盛り。これら旬の材料の合わせ技は、まさしく著者の本領といったところ。特に蒸したとうもろこしは、一度試して以来ハマりました。歯ごたえが程よく、甘味がふんわり口のなかに広がり、ひと手間かける価値があります。

夏はまだまだ続きます。さぁ、おいしく食べて健康な日々を!!

写真は『春夏秋冬、ぎゅっと詰めて 旬弁当』より

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