アイシングクッキー(前編)|こんなの見たことない! 美しくて、おいしくて、訪れただけでワクワクする、究極のワークショップ 講師:yacoさん

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アイシングクッキー(前編)|こんなの見たことない! 美しくて、おいしくて、訪れただけでワクワクする、究極のワークショップ 講師:yacoさん

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多くの人の目を釘付けにして記憶から離さない、yacoさんのアイシングクッキー。まとう光も美しく芸術的で、まるで宝石の原石のよう。大人気のワークショップが東京で開催されると聞きつけて、つくりら記者も参加。念願かなった体験取材は前編、後編の2回に分けてご紹介。前編では、yacoさんのクッキーが生まれたきっかけやyacoさんのお人柄をお伝えします。

 

撮影:Crista Priscilla  取材・文:酒井絢子  協力:オレンジハウス東京

ワークショップが始まる1時間前に会場にお邪魔すると、すでにテーブルの上には、ペールトーンでまとめられた道具たちが整然と並んでいます。カメラマンが撮影しようとしたら「まだ準備が完璧じゃないんです〜。もうちょっと待っとってください」とyacoさんの声。明るい関西弁で制されてしまいました。常に笑顔で周りと接しながらも、準備に余念がありません。

 

作品づくりの瞬間にも空間にもこだわりたい

「おもてなしをちゃんとしたいんです。作品を取り巻くすべてにこだわりを持ってやっているということを、何も言葉にしなくても伝えられるように」

準備の合間には、参加者さんが座る席に腰を下ろし、隣の人と肘が当たらない十分なスペースがあるかまで自らチェック。yacoさんはアイシングクッキーの“先生”でもあるけれど、ワークショップのプロデューサーでもあって、ホスピタリティあふれるホスト役でもあるようです。

その細やかな気配りは、yacoさんの手作業にも見て取れます。素人目にはわからないような小さな気泡も入念にチェック。

「作品のイメージと違うと100%言われるんです〜」と、ニコニコとゆったりとした関西弁で話し、折々笑わせてくれる気さくなyacoさん。

でも、作品づくりについてお伺いすると、その柔らかな物腰や口調は一転し、きっぱりと「誰かと同じものをつくっても仕方がない、安易な表現方法はとりたくない」と話します。

ワークショップの会場も、参加する方がここに訪れただけでワクワクするようにと、演出やしつらえも手を抜きません。

 

強い憧れが原動力。たくさんの出会いで世界が広がった

自身のウェディングの際にデコレーションスイーツの世界に魅了され、それを機にアメリカのデコレーション技術WILTON methodを学び、アイシングクッキーの制作を始めたというyacoさん。

作品を友人にプレゼントしたり、さまざまな教室に通ったりなどしているうちに、現在の活動につながる人たちと出会います。フローリスト、フードデザイナー、ネイリスト、カフェオーナー、カリグラフィーアーティスト、フォトグラファー・・・。たくさんの出会いが、作品やワークショップの内容にも影響を与えました。


▲お手本として用意されたクッキーは、yacoさん自身がすべてにおいて納得している仕上がりのもの。

自身が大きく飛躍した――そう感じたのは、憧れていた東京・東駒形のカフェ、「from afar 倉庫01」で、ワークショップを開催することになったとき。店の雰囲気に合うもので、いわゆるカワイイ系ではないものを、とオファーを受け、鉱物からインスピレーションを得たアイシングクッキーを初めて創作したのです。

「今までに見たことがない、と言われるようなものをつくりたかったんです。ほかの人にもできることじゃなくて、唯一無二のものを」


▲アイシングをのせる前のクッキーも、実はとびきりおいしい。ワークショップ参加者には、お味見用として素焼きのものもお土産に。

 

いちばんのこだわりは、透明感

一見してクッキーとわからないような独創性あふれる作品は、どこまでも繊細。かたちはラフなようでいてアイシングが活きるラインを滑らかに描き、質感はツヤ感のある部分とマットな部分を絶妙なバランスで使い分けています。

「でもいちばんのこだわりは、透明感ですね。どのクッキーにもとどこか透明感を感じられるように、さまざまな工夫をしています」

クッキーを彩る食用色素やクッキーを包む氷砂糖も、こだわり抜いて選ばれたもの。

ワークショップのテーブルは、ただ美しいだけでなく、使いやすく作業しやすく。配置にもyacoさんの心配りが表れています。

作品を入れる木箱は、木材からサイズ、フタの仕様までじっくり検討し、木工職人さんに依頼した特注品。

「ワークショップの参加者さんがアイシングにちょっと失敗しちゃったとしても、箱に入れたら“きれいやん!”みたいになるようにしたくて」。クッキーの下には、緩衝材の役目も果たす氷砂糖がきらきらと光を通します。


▲yacoさんによる今回のお手本。三重県の職人に特注したという木箱に収められて。

そして手描きのレシピ! 素焼きのクッキーのレシピ、アイシングのレシピ、そしてそのコツまで、丁寧に解説。レシピは作品とともにお持ち帰りできるので、ワークショップの素敵な時間を思い出しながら、再現に挑戦できます。

 

すべてにおいて一切の妥協がないyacoさんのこだわりと気配り。ワークショップの参加者の皆さんも、そのホスピタリティとともに作品づくりの時間を、最初から最後まで愛おしそうに楽しんでいました。

後編では、記者も体験したワークショップのレポートをお届けします!

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