BOOKS
暮らしの本
著者:山﨑ひろみ
読んだ人:小泉大河(編集者)
紙とはさみとのり。
小学校の図画工作で親しんだ素材と道具で、これほどまでに美しい花がつくれるなんて!色とりどりの花がぎゅっとつまった艶やかな表紙に心を奪われ、ページをめくっていくと、その驚きは「私にもつくれるかも・・・」という、うれしい期待に変わる。
全ページに貫かれた端正で大人っぽい世界。一方、作者の山﨑ひろみさんのブログをのぞいてみると、かわいらしい作品もたくさん載っていて、少々趣が異なる。そう、この本は、山﨑さんの確かな技術と丁寧な手仕事に惚れ込んだ編集者が、「まるでホンモノとみまごうほどの精巧で美しい花」という未知の世界へと、山﨑さんを引っ張り込んだ本なのだ。
山﨑さんはブログの中で、「花図鑑を横に、パンチやダイ、手切りでカットしたペーパーをいつものように、カールしたり、折ったりしながら、立体のお花に。いろいろと自主勉強になりました」と制作当時を振り返る。
美しさもさることながら、暮らしのシーンで使えることにも徹底的にこだわった。バラとトルコキキョウはランプに、スプレーマムはガーランドに。そこには、「役に立たないもの、美しいと思わないものを、家に置いてはならない」といった19世紀のデザイナー、ウイリアム・モリスの精神すら垣間見えるほど、といったら、いい過ぎかもしれないが。
つくれる花は、スズランやカーネーションなど、おなじみの花が31種類。中でもバラはつぼみも含めて5つもあって、バラ好きだという山﨑さんの愛情がひしひしと伝わってくる。
毎日一輪、コツコツつくれば1か月ですべての花がマスターできる!“とらぬ狸の皮算用”というなかれ。小さな目標は、怠惰な日々に輝きとリズムを与え、文字どおり「華」(花)を添えてくれるのだから。
バラ、ガーベラ、アネモネ、ポピー・・・ヨーロッパで人気の「ペーパーフラワー」のつくり方。全作品を写真と丁寧な解説で紹介。おしゃれな小物アレンジ多数。
書籍名:紙でつくる、ほんものみたいな花と小物
著者:山﨑ひろみ
ページ数:96ページ
判型:A5変型判
発売日:2017年4月
定価:1,296円(税込)