更新日: 2018/02/20
2月7日、つくりら主催で初めてのワークショップを開催しました。会場は陽光がたっぷり入る気持ちのいい空間、自由が丘のオレンジハウス東京さんのショールーム。午前は刺繍作家の川畑杏奈さん、午後は名古屋のフローリスト、フラワーノリタケさんを講師にお招きしました。前編では川畑杏奈さんのワークショップのレポートをお届けします。
撮影:奥 陽子 取材・文:つくりら編集部 協力:オレンジハウス東京
今回、川畑さんが教えてくれるのは、紙刺繍。布ではなく、紙に刺繍をしていくレッスンです。グリーティングカードや封筒など、“紙もの雑貨”にちょこっとあしらう紙刺繍は、手づくりの温かみを添えられるワンポイントとしても注目を集めています。
「紙刺繍をぜひ教えてください!」。そんなつくりらのお願いに、川畑さんが考えてくれたのが、小さなノート。「つくった後に自分自身が使って楽しめるものがいいと思い、このアイテムを選びました」
こちらが川畑さんの見本作品。色違いで2種類つくってくれました。愛らしい鳥モチーフをぐるりと囲んだデザインです。土台紙や刺繍糸の色を変えると、ずいぶん印象が変わりますね。
さっそくテーブルに道具が並べられていきます。ピンクッション、目打ち、鉛筆、ミニハサミ・・・。丸いバスケットに入って、なんだか可愛い! もうこれだけでさっそくテンションが上がってしまいます。
一人分の準備が整いました。川畑さんお手製のレシピと、ミニノート2種、そしてピンク、グレー、水色の画用紙です。紙刺繍は、直接、ノートに刺してもいいし、好きな色の画用紙に刺して表紙につけてもOK。
まずはレシピから図案を切り取ります。
図案の裏側を鉛筆でシャカシャカ塗りつぶします。この感覚、幼稚園のとき大好きだったクレヨン画づくりに似ているなあ。
紙刺繍をする紙を決めます。私は画用紙のピンクを選びました。生徒さんのうち、ピンクを選んだのは私だけのよう(笑)。ミニノートに画用紙を巻きつけてセンターを折ります。
切り取った図案を表紙になる面の真ん中にマスキングテープでとめます。きっちりセンターに図案を置きたいときは、天地左右がそれぞれ等間隔になるように定規で測って。ボールペンで図案を上からなぞります。
目打ちでステッチ穴をあけていきます。この工程がまさに紙刺繍ならでは。
テーブルには川畑さんが持ってきてくれた刺繍糸がワンサカ積まれています。ワークショップ前、先に集まった生徒さんたちに、挨拶も早々、「ではみなさん、この時間を使って刺繍糸を選んでいましょうか」と川畑さん。え? いきなり、もうですか? と思いきや、「刺繍糸選びはとても時間がかかりますので」と言葉がつぎ足されました。
川畑さんの“予言”どおり、いざ糸選びとなると、わーん、迷っちゃいます。土台となるピンクの画用紙を見ながら、色合わせに奮闘。きれいな色を目の前に、心はときめきながらも、なかなか決められません。ピンクを選んだのだから、思いっきりラブリーな色合いにしようかなと、明るめトーンのオレンジ、ピンク、黄緑に。
刺繍の“基本のき”、針に糸を通すのもおぼつきません。川畑さんの早いこと、早いこと、まばたきしている瞬間にもう針に糸が通っています。職人技です。
鳥のボディをぐるりとバッグステッチするところから始めます。
紙の裏側から同じ穴に通す、というのも、紙刺繍ならでは。
なんとかバッグステッチ、終了。
続いてフレンチノット。「フレンチノットなんて知っているよ」とずっと思っていたのですが、川畑さんのデモンストレーションを見て、私はそのコツを全然わかっていなかったことが発覚。針に糸を2回巻き、同じ穴に針を入れたあとで、糸を引く。この「糸を引く」をしないと、ぼったり、もっさりのフレンチノットになってしまうのでした。
どうにかこうにか鳥を刺し終え、上下のレゼーデージーもできたところで、タイプアップ。ブレイクタイムです。
ワークショップのお菓子は、焼き菓子専門のパティスリー、Herriott(ヘリオット)さんに頼んだ特注品。紙刺繍のモチーフに合わせて、鳥モチーフのリンツァーサブレです。中にはホワイトチョコレートとフランボワーズコンフィチュールをはさんであります。
紙刺繍と一緒にスタイリング(笑)。
ブレイクタイムのあとは、この日、参加した生徒さん5名の紙刺繍を集めて記念撮影。土台の紙や刺繍糸の色選びで全然印象が変わります。どれもみな、違って、それぞれの個性が出ているよう。ひとつひとつが違う、これがまさしく手づくりの楽しさですね。
でき上がった紙刺繍でミニノートの表紙を仕上げます。まずは画用紙のセンターにボンドをつけて、ミニノートの背に貼りつけます。
手で押さえて整えます。
当て布をしてクリップで押さえます。
本日のワークショップで体験した紙刺繍、川畑さんの著書『5つのステッチでできるannasの刺繍工房』には、たくさんの作例やつくり方が掲載されています。
紙刺繍を体験した後に、改めて本を見ると、あ、ここはこのステッチ、こんなふうにしているんだあ、と新たな発見がいっぱい。掲載作品は、この日に習ったステッチでできるものばかりで、あれもこれもとさっそく試したくなってしまいます。
会場にディスプレイされた著書掲載作品をもう一度まじまじと。実際に自ら体験したあとは、色使いやステッチなど、自分の作品を見る観点も少し違ってきたようです。
会場では、川畑さんの2冊の著書も販売。
体験して、作品を見て、またトライする――。手づくりの嬉しいループにカチッとスイッチが入ったような、楽しい、楽しいワークショップでした。
川畑さん、そして参加してくださったみなさま、ありがとうございました!
川畑杏奈
幼稚園教諭として3年間勤務したのち、刺繍作家として活動をスタートさせる。刺繍教室「Atelier アンナとラパン」主宰。『annasのプチ刺繍』『5つのステッチでできるannasの刺繍工房』(ともに日本文芸社)ほか著書多数。2017年11月に『annasのもじの刺繍』(光文社)を出版予定。インターネットサイト「LOCARI」にて毎月連載中。小説表紙装画、広告、挿絵、菓子パッケージ等の刺繍アート制作も行う。
http://twutea.web.fc2.com/
オレンジハウス東京(株式会社オレンジハウス)
「自分らしくコーディネートして毎日の暮らしを楽しみたい」と考える人に“新しい住まいのあり方”を提案している会社。住まいも服と同じように、お気に入りをセレクトして自分流にカスタマイズーそんなお客様のスタイリストとして、唯一無二の住まいづくりをサポートしている。https://orangehouse-tokyo.com