ビーズの縁飾り(前編)|トルコの伝統工芸、ボンジュックオヤでつくるアクセサリー。講師:西田 碧さん

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ビーズの縁飾り(前編)|トルコの伝統工芸、ボンジュックオヤでつくるアクセサリー。講師:西田 碧さん

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「oya(オヤ)」という言葉を聞いたことはありますか? オヤはトルコ語で縁飾りという意味。今回、レッスンに参加させていただいたのは、『ビーズの縁飾り』の著者として知られる西田碧さんの「ビーズのoya教室」です。前編、後編の2回にわけて紹介します。前編ではボンジュックオヤの作品の数々をご覧ください。

撮影:田辺エリ 取材・文:つくりら編集部  協力:ワサビ・エリシ

オヤはトルコの伝統工芸。国民の多くがイスラム教徒のトルコでは、信仰心の篤い女性は髪をスカーフで覆っています。そのスカーフの縁に施された美しいレース編みがオヤです。

 

ビーズを編み入れるボンジュックオヤ

オヤには、縫い針で糸を結んでモチーフをつくるイーネオヤ、極細のレース針を使い、かぎ編みの技法でつくるトゥーオヤ、ビーズを編み入れるボンジュックオヤなど、さまざまな種類があります。今回、西田さんに教えていただいたのは、ボンジュックオヤ。ボンジュックはトルコ語でビーズのことです。


▲コロンとしたベリーをつないだネックレスは、『ビーズの縁飾り Vol.1』で紹介されたモチーフ。長さやビーズの色味を替えてさまざまなアイテムがつくれるので、西田さんの教室でも人気の高い作品なのだそう。

トルコのオヤにはそれぞれ名前がつけられています。バラや蝶といった自然の名前が多いのですが、中には「好色男のヒゲ」、「七宝編みの姑の舌」といったユニークなものも。

かつて大家族制度の元で生活していたトルコの女性たちは、自分たちの感情を直接伝えるのがままならず、自らの思いをオヤに託していたといいます。たとえば、妻が赤い唐辛子のオヤのスカーフを被っているときは、夫に対して怒っている証拠といった具合に。長い歴史のなかで、オヤはいつも女性に寄り添い、心強い味方になってきたのです。


▲どんぐりの3連ネックレスは、シックな色のビーズやメタルパーツを編み込んで楽しげな雰囲気。『ビーズを編み込むすてきアクセサリー』に掲載されている作品。


▲どんぐりは、ウッドビーズに丸小ビーズでつくった袴をかぶせて。


▲同じどんぐりのモチーフをアレンジしてブローチに。

 

「トルコの伝統刺繍とオヤ展」でオヤに目覚める

ジャンルを問わず、さまざまな手芸作品を手がけてきた西田さんが、実際にオヤをその目で見たのは、2003年に文化女子大学で開催された「トルコの伝統刺繍とオヤ展」。その美しさと種類の多さに感動し、鳥肌の立つ思いだったと当時を振り返ります。

2006年にはトルコへの文化交流ツアーに参加し、地元の手芸家の手ほどきを受け、イーネオヤに挑戦。訪れる土地土地で、手芸店や土産物屋をめぐり、珍しい糸や雑誌、そしてオヤのスカーフなどをたくさん購入してきたそう。

旅先から戻ると、トルコで購入したボンジュックオヤをほどいてつくり方を解明。試行錯誤を重ねながら作品をつくりためると、仕事仲間のCRKdesignさんと一緒にオヤの企画として出版社へ持ち込みました。そうしてでき上がった本が『ビーズの縁飾り vol.1』。2008年のことです。

当時は、空前のビーズブームが終焉を迎える頃。ビーズを編み込んだ可憐なボンジュックオヤは、新しいものを求めていたビーズ愛好家の心をつかみ、一躍人気の手芸になったのです。

「トルコのオヤは糸も針も細いもの。『ビーズの縁飾り』では、つくりやすいように、日本の素材に替えて提案しています」


▲『ビーズの縁飾り Vol.2』の表紙を飾った作品。縁飾りを並べた愛らしい表紙は、このシリーズのトレードマーク。


▲西田さんのお気に入りの作品。ビーズを通す順番や種類が複雑で時間がかかるため、講習で教えられるように簡素化したのが、冒頭でご紹介したベリーのネックレスなのだそう。

後編では、編集記者が「パイナップルの縁飾り」に挑戦したレポートと、レッスン会場となった「ワサビ・エリシ」さんのトルコのオヤをご紹介します。

 

 

 

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