ハンガリー刺繡作家・井沢りみさんに教わるハンガリーの刺繡(後編)

4人の作家による、花をモチーフにした刺繍の作品集『彩る 装う 花刺繡』。本書から、ハンガリー刺繍作家・井沢りみさんに教わるハンガリー刺繡の特徴の後編です。

撮影:井沢りみ・大沼ショージ 文:つくりら編集部

代表的なハンガリー刺繍とその特徴をご紹介します。

井沢りみさんのカロチャ刺繡のサンプラー『彩る 装う 花刺繡』▲ カロチャ刺繡のサンプラー

 

Eyelet Edges (アイレットエッジ)

井沢りみさんのハンガリー刺繡アイレットエッジ『彩る 装う 花刺繡』

ハンガリー南部の小さな村、シオーアガールド(Sióagárd)で広まった、刺繡のテクニックのひとつ。穴が2つ以上連続で続く場合は、すべての穴の周りをランニングステッチし、工程通りに1つずつ穴を仕上げていきます。

 

Couched trellis stitch (コーチドトレリスステッチ)

井沢りみさんのハンガリー刺繡『彩る 装う 花刺繡』

17~18世紀にかけて、ハンガリーの貴族の間で好まれたウーリ刺繡(Úri)などに用いられる技法。格子状に糸を渡して、格子の交点に十字に糸を渡してとめていく技法。コーチは「横たえる」、トレリスは「格子」 の意味。

 

Írásos(イーラーショシュ)

井沢りみさんのハンガリー刺繡イーラーショシュ『彩る 装う 花刺繡』

旧ハンガリー領のカロタセグ地方で伝わるイーラーショシュ。オープンチェーンステッチとボタンホールステッチを組み合わせた技法で、太めの綿糸で間隔を詰めて模様に仕上げます。
この解説ではわかりやすくするために間隔をあけて刺繡しています。

 

Hamis satin stitch (ハミシュサテンステッチ)

井沢りみさんのハンガリー刺繡『彩る 装う 花刺繡』

ハンガリー刺繡でよく使われる技法で、下に刺したステッチを覆い隠しながら、少ない糸でふっくらとボリュームのあるように刺せるサテンステッチ。「ハミシュ」は「偽」という意味で「偽サテン」とも呼ばれます。

 

Udvarhely (ウドゥヴァルヘイ)

井沢りみさんのハンガリー刺繡ウドゥヴァルヘイ『彩る 装う 花刺繡』

ハミシュサテンステッチ+コーチング+アウトラインステッチ
ウドゥヴァルヘイ刺繡でよく使われる技法で、3種のステッチを組み合わせたもの。ハミシュサテンステッチを留めつけるようにコーチングをし、周囲にアウトラインステッチを施します。

 

Bíbor stitch(ビーボルステッチ)

井沢りみさんのハンガリー刺繡ビーボルステッチ『彩る 装う 花刺繡』

ハンガリーのシャールクズ刺繡で使われる技法のひとつ。ホルべインステッチの応用で、レンガ模様のように、1段ずつ縫い目が段違いになるように刺す技法。

 

刺し方の手順は、ぜひ『彩る 装う 花刺繡』をご覧ください。さまざまな表現を楽しめます。

Instagram:@tsukurira0714

【書誌情報】
『彩る 装う 花刺繡』
著者:井沢りみ、salvia、マカベアリス、森本繭香『彩る 装う 花刺繡』書影4人の作家による、花をモチーフにした刺繍の作品集。シンプルナチュラル、ハンガリー刺繍、北欧風、グラデーションなど、さまざまなテイストが一冊に。刺繍の技法もバラエティに富み、基礎テクニックも紹介しています。刺繍した布をブローチやバッグに仕立てたり、既製品に刺したり。お気に入りの図案を見つけてください。

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