「包」の境 8.10(Thu)、11(Fri) 東京

SNSに流れてくる美しい写真に魅せられて、まさに“取るもの手につかず”、足を運んだのがこちらの展示会です。

冒頭の写真は、会場に展示されていた山本考志さんの「花紋折り」の作品です。山本さんは「包み方」を考えるギフトのためのブランド『HOW TO WRAP_』を主宰。こちらの作品は、折り紙作家の内山光弘氏(1878-1967)が考案した「花紋折り」を新たな感性でアレンジし、再生させたものだそう。

花紋折りで使うのは、通常、3種類の紙。青、白、ベージュの取り合わせは、会場となる「工芸青花」のテーマカラーに合わせて選んだそう。3色が絶妙に重なり合い、さまざまな表情を見せる小さなオブジェ。紙という平面が「折る」という行為だけでここまで美しい形になるなんて・・・。幼少の頃に親しんだ「折り紙」という概念からは到底たどり着かない、アートとしての存在感に心が震える思いでした。

この展示会を監修した井出幸亮さんによれば、企画のアイデアは、今はなきグラフィックデザイナー、岡秀行氏(1905-95)の著書『日本の伝統パッケージ』(美術出版社)がその起点。「1965年に出版されたその本は、籠、樽、藁の包み、竹筒、桐箱、土瓶、包装紙など、日本古来の『包む』文化の中にある造形美を求めて収集した膨大なコレクションを、美しい写真とレイアウトで掲載した名著です」

今回の展示は、岡秀行氏へのオマージュでもありながら、現代的な視点からの捉え直しが大きなテーマ。「『包の文化』の魅力を2017年の日本に暮らす者のセンスとアプローチで、アップデートした形で表現してみたい」と井出さんはいいます。

会場には、冒頭にご紹介した山本考志さんの「花紋折り」のほか、渋谷のインテリアショップ『Swimsuit Department』店主の郷古隆洋さんセレクトの逸品、アジアから集めた布や工芸の販売、衣服の製作を行う『KANNOTEXTILE』の菅野陽さんの作品が並びます。

神楽坂の目抜き通りから小径を入ったところに構える「工芸青花」のギャラリーは、昭和の香り漂う古い木造建築の1階。ここは「一水寮」という名前で、ロンドンで建築を学んだ建築家・高橋博氏が「高橋建築事務所」の大工寮として設計したもので、1953年に竣工、国登録有形文化財にも指定されています。

商店街の喧噪から逃れて心静かに手工芸と向き合える空間も、一見の価値があります。

会期:2017.8.10 (Thu)、11(Fri) 12:00-19:00

会場:工芸青花
   東京都新宿区横寺町31-13 一水寮101(神楽坂)

 

おすすめコラム