Favorite things 第1回(前編)| 日本の伝統工芸、寺島綾子さんの手まりとイギリス生まれの器が、時空を超えて出逢った瞬間。

スタイリング・フォトグラファーの村川麻衣さんの連載「Favorite things 世界を好きでいっぱいにする!」がスタートしました!多感で多彩な麻衣さんの目線で綴る「好きなもの、好きなこと」のお話です。毎月1話、前編・後編の2回ずつ、お届けします。

撮影・文:村川麻衣

はじめまして。村川麻衣といいます。
大阪とイギリスのブリストルを行き来しながら、アンティークのバイイング、企画・ブランディング・コンサルティング・ディレクション・撮影などを行っています。また、13歳から詩を書いていて、月森文(つきもりふみ)としても活動しています。

 

寺島綾子さんの手まりを撮影した器

2017年の春。「美しい手工芸と暮らしのサイトをつくります。そのキービジュルを撮ってください!」という依頼が舞い込みました。それがこの「つくりら」でした。

印象的だったのは、編集者の方の「楽しみながら、自由に、好きなように撮影していただくことが一番大切なので」という言葉でした。それから数日後、私の元に寺島綾子さんのたくさんの手まり作品が届きました。絹糸でつくられた小さな作品たち、その繊細な模様と美しい色合いにうっとりしました。

ちょうどイギリスへ行く予定と重なり、撮影はイギリスで行うことになりました。私はたくさんの作品の中から、直感的に目に止まったものを選んでスーツケースにしのばせました。

いくつか撮った中から選ばれたこの写真は、そのとき滞在していたイギリス・ブリストルの個人宅で撮ったものです。

この器はイギリスのParkinson Pottery(パーキンソン ポタリー)という1952年から1963年までのたった11年間しか運営されていなかった陶器ブランドのものです。そのほとんどの作品は動物や人の形をしているので、このお皿のような形はとても珍しく、普段はディスプレイとして寝室近くのキャビネットの上に置かれています。

抽象的なようでモンシロチョウの羽のようにも見えてお気に入りです。

最初はスタイリングにやわらかな色の背景や小物を使おうとイメージしたのですが、作品と同化してぼんやり見えてしまい、いまひとつ。たまたま近くにあったこの器を合わせてみたところ、作品が際立ち、全体的に力強さと存在感が出て、「これだ!」と思ったのです。

寺島さんの手から生まれた作品とイギリスで生まれた器が、時代や時を経て出逢い、お互いを引き立て合っているように思います。

 

イギリスに恋をしたら、Leeさんが現れた

どうしてブリストルの個人宅で撮影したのか。自己紹介も兼ねて少しお話したいと思います。

2016年9月、初めて訪れたヨーロッパがイギリスだったのですが、目に飛び込んでくる景色の美しさや自然の壮大さ、古い建物が残る街並み、みんな自由に活き活きと今を生きてる様子にすっかり恋してしまいました。

ロンドンにあるハイド・パークを歩いているときに「いつかここに住みたい!」という想いが込み上げてきて、その気持ちを公園に落としてきました。

帰国した翌日、またイギリスに行く時のためにできることをしようとHelloTalkというアプリを登録しました。HelloTalkは言語学習アプリで、世界中のネイティブスピーカーとチャットしながら言語を学習するものです。ブリストルに住んでいるLeeさんからメッセージが届いたのは、HelloTalkを始めて3日後のことでした。

イギリスに恋をしたら、Leeさんが現れた。嘘のような本当の話。好きなものが似ていること、古いものに魅力を感じること、Leeさんは日本が好きで、私と出逢う前から日本語を勉強していたりもして、お互いに大阪とブリストルを行き来するようになるまで時間はかかりませんでした。


▲Leeさんと私。セルフタイマー間に合わず。

ブリストルでは、彼と一緒に蚤の市を巡り集めてきた古いものを中心に扱うお店「Modern Antiques」が、ようやく形になってきたところです。

 

ブリストルの小さな蚤の市

ブリストルはイギリス西部にある港町です。下の写真は、ブリストルハーバーから見上げた住宅街。カラフルな家の並びは、遠くから見たときにどれが自分の家かすぐ分かるようにだとか。夏は陽が長いので、夕食後によく散歩をします。

ブリストルへ行き来するようになって3年が経とうとしています。ブリストルの中心部にあるSt Nicholas Market(セント ニコラス マーケット)では毎週土曜日に小さな蚤の市が開かれます。

滞在中は毎週のように出かけ、何か面白いものはないかと見て回ります。箱にどさっと入った古いポストカードは1枚の値段を聞くよりも、5枚、10枚と選んでまとめて値段を聞くほうが安く買えると分かったのは最近のことです。

通っているうちに、お店の人と挨拶を交わすようになりました。「Have a nice day!」とウィンクつきで言われた日には、本当にいい1日が始まるような気がしてきます。

地元の方たちとコミニュケーションを取るようになると、お買いものもより楽しく感じます。

 

掘り出し物に出会えるチャリティーショップ

イギリスではチャリティーショップをよく見かけます。いわゆるセカンドショップ、中古品屋さんなのですが、恵まれない子どもたちやホームレス、難病を患う人たちへのサポート、動物福祉の団体などが運営していて、市民から無償で寄付されたものを販売しています。


▲Bristol & District Branch / Bristol A.R.C.。市内のペットや野生動物の病気やけがなどの活動をしているお店です。


▲隣町のバースで見つけたチャリティーショップ、Mercy in Action Boutique Charity Shop / Mercy in Action。ストリートチルドレンのための活動をしています。

おしゃれなエリアや高級住宅街にあるお店では、状態のいい掘り出しものに出逢える確率も高いのでおすすめです。購入することで慈善事業への寄付に繋がる仕組みなのも素晴らしいなと思います。

 

想像をかきたてる古いものたち

ミモザの絵が描かれたお皿は、ブリストルにあるアンティークショップで見つけました。埃まみれの木の箱の中から、1枚だけ。淵に数カ所欠けがありますが、気にしません。むしろ、不完全なもののほうが愛おしかったり。サラダやローストポテトなどをのせて使っています。

こちらはSt Nicholas Market(セント ニコラス マーケット)の蚤の市で見つけた鏡です。手のひらサイズくらいの小ささです。後ろにフックがついているので壁に掛けたり、手鏡としてもいいサイズ感です。そんなに古いものではないですが、経年変化が楽しみに思えるものに、つい目が止まります。

後編では小さな手工芸品や雑貨をスタイリングする楽しさなどをお伝えしたいと思います。

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