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花とアンティークと 第6回(後編)|花材と器選びで差がつく!洋風リビングにもマッチするお正月の特選アレンジメント

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名古屋で評判のフローリスト、フラワーノリタケの則武潤二さんと、アンティークと雑貨を扱うTisane infusionの則武有里さんとのコラボレーション・スタイリングです。第6回の後編では、お正月のアレンジメントをご紹介します。

フラワーアレンジ&スタイリング:則武潤二、則武有里 撮影・文:則武有里

松ではなく、あえて藁を主役に

お正月になると必ず使う定番の花材は何といっても松です。これさえドーンと入っていればお正月花として安心で十分。なのですが、今回はあえて松はアクセントの脇役に徹してもらい、藁(ワラ)をメインにしました。

お米の穂はお正月飾りでもよく使われる花材ですが、穂がついていない藁は主にしめ縄用で、花材としては注目していませんでした。たまたま藁を三つ編みに編んだものを店に飾っていましたら、「藁も非常に綺麗なのでしめ縄だけではもったいない」と生産者の方の声を聞き、何か形にできないかと考えたのが、今回の飾りです。

サックリとまとめただけですが、素朴さの中に華やかさを秘めた女優のようで、とても健気ないい演技をしてくれるのです。一房の赤い南天の実やほんの少しの松の緑さえも引き立ててくれます。お米の穂を収穫した後もなお、この藁の持つ懐の広さがお米同様に輝いてみえます。

ガラス瓶の中には金柑を入れて。クリスマスのアレンジのときも赤い実でご紹介しましたね。生花はそのまま飾るのが一番ですが、葉や実は、水を入れたガラス瓶に入れると面白く映え、ひと味違う表情を楽しむことができます。

アレンジするときは、色のトーンを揃えます。藁を白い和紙で包み、水引も白で統一。小物はアジアンテイストなものを選んで置くとほどよく和の雰囲気が出ます。今回使用したものは韓国の古い高台。日本のものでも陶製の器や漆のものがあります。ボールは竹で編んだセパタクローというラオスのボールゲームの玉なんです。用途は違いますが、竹で編んであるだけで、日本の和の演出にひと役買ってくれる優れものです。

 

短い茎でできる即席アレンジ

テーブル上で楽しめる小さなアレンジは、漆膳に丼茶碗をのせて。漆膳は四角や丸、脚のあるものからお盆のようなものまで形も色も様々。今回使ったのは、時代は明治と、さほど古いものではありませんが、きちんと木箱に収められ、値段もとてもリーズナブル。漆というとお手入れが気になる方も多いですが、古いものなのでカケやヨゴレもご愛嬌。雑器として心置きなく使えるアイテムのひとつになると思います。器は韓国の丼茶碗。古い器ではありませんので家にある丼でも遊んでいただけます。

水を吸ったオアシスを器の半分くらいにカットして置きます。後は隙間なく花と葉と実をバランス良く挿していくだけです。大きな花と葉を先に挿していくとまとまります。このアレンジは長く花瓶に飾った花材を整理する際、茎を落としてもなお、愛おしい気持ちでアレンジするといいかもしれませんね。それぐらい短い茎でできる即席のアレンジです。

花材は、上段左から、金柑、マリーゴールド、ベラドンナ。二段めの左から、スズメウリ、スカビオサ、アストランティア、ハボタン、ラケナリア、ヒヤシンス。三段め左から、アストランティア、カモミール、パーゼリア、ゼラニウム

下のアレンジは同じ器を使って和テイストにしたもの。松と南天の実、赤く紅葉したオタフクナンテンの葉の三点でお正月になります。

華やかさが欲しいときは数本の花を足せばOK。オタフクナンテンは本当に丈夫で世話いらずな植物なので、庭がなくても鉢植えを一鉢育てておくとこの時期重宝しそうです。

花材は、左上から、スイセン、オタフクナンテン、その下を左からアストランティア、シンピジュウム、ゴヨウマツ。左の赤い実から、ナンテンノミ、クロマイ、ツバキノハ、キク

 

洋風のリビングにも置ける正月アレンジ

1920年代前後イギリスの陶製のゼリー型を使ったアレンジです。艶のある黒い漆膳、真っ白い陶器、南天の赤い実、松の緑。どれもお互いを邪魔せず、ひとつのつくりもののようにも見えますね。これなら洋風のリビングにも置いてもらえそうです。

ゼリー型は漆膳同様に形は様々ですが、凛とした白い陶器のものやガラス製のものが多く見られます。ティザーヌでは、真っ白い肌にプリーツのようなヒダがあるものを見つけては仕入れています。ヒダは幅広だったり細かったり、ヒダなしでスッキリしているものもあります。花型もありますが、この型のようにシンプルなシルエットが一番綺麗な気がします。

 

不老不死のシンボル、大王松で新年の幕開けを

大王松は、ダイオウショウやダイオウマツといわれ、花言葉は不老長寿のシンボル。冬でも枯れず長く生きるところから長寿の象徴となっているみたいです。

柳行李の道具入れに、日本でも古来より縁起の良い植物として重宝されてきた大王松を敷き詰めて贈り物にいかがですか? もちろん古いものが大好きな人限定です(笑)。渡すのが当日でしたら水は付けなくとも大丈夫です。風呂敷で箱を包んでお渡ししても素敵!ご挨拶のメモの片隅に「開けたら少しだけ切り戻してお水に入れて上げてください」と一言お願いしますね。

 

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