手織り(後編)|糸が生地になるってすごい! 尽きない織りの魅力に広がる可能性。講師:ichi.coさん

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手織り(後編)|糸が生地になるってすごい! 尽きない織りの魅力に広がる可能性。講師:ichi.coさん

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前編では、キリム糸を使った小物づくりのワークショップの様子をレポートしました。後編では、ichi.coさんが織りに魅せられたきっかけや、さまざまな織りの世界をご紹介します。

 

撮影:田辺エリ 取材・文:つくりら編集部 協力:そらいろ*おやつの時間*

スコットランド織りとの出会い

ichi.coさんのものづくりの出発点は、布小物。新たな世界を模索していた頃、糸にかかわる人たちが集うイベント、東京スピニングパーティーに行ったことで転機が訪れました。

「そのイベントで、スコットランド織りのタータンチェックに魅せられてしまったんです」

まだ織り機も持っていないのに、キットを購入し、のちの師匠となる「手織工房タリフ」の明石恵子さんの手織り教室に参加。なんと2日間で千鳥格子のマフラーを織り上げてしまったのです。


▲ichi.coさん最新作のストール。左の2つはM&W ツイル、赤とブルーのものは、グレンチェック、右端はシックス スレッド ヘリンボーン。

興味の赴くままに調べていくと、タータンチェックだけでなく、地紋のような可愛い模様もたくさんあることがわかり、組織図の見方やカラーコーディネーションなども学び、織りの研究にのめり込んでいきました。


▲イベントでストールを販売するときは、お客様に実際に巻いていただくようにしているそう。


▲以前、「そらいろ*おやつの時間*」の池上さんが購入してくれたストール。使い込まれて、いい風合いになっている。


▲文様織りでつくったブローチは、イベントなどで人気。左はモンクベルトと呼ばれる模様。右はツイルの縦糸の変形。

 

素朴な木枠でキリムを教えるように

やがて、友人に請われて織りを教え始めたichi.coさん。「そのときに小さな織り機を持ってきていた人がいて、この小さな織り機でキリムとか教えられるかな、と思ったのが、織り物教室の始まりなんです」

それがこの木枠。原毛や糸、紡ぎ車などを扱う「アナンダ」のもので、インド紫檀製。素朴でシンプルなフォルムは、織り途中で飾っておいても絵になるので、生徒さんにも大好評。今もichi.coさんの教室での定番織り機です。

「教室では、キリム用の糸を使っているので、キリム織りとか言っていますが、伝統的な織り方をアレンジしていますので、言うなれば、ichi.co織りでしょうか(笑)」

レッスンではichi.coさんおすすめの技も学べます。そのひとつが「動く玉結び」。「この結び方をすると、縦糸のテンションを強く保ったまま固定することができます」

 

自由な発想が生きるタペストリー

スコットランド織りに、キリム織りと、織りの知識や技術をぐんぐん吸収していったいichi.coさんですが、最近、心惹かれているのは、タペストリーです。

「最初に衝撃を受けたのは、大阪・箕面市の『noji+』さんのサイトを見たとき。野性的な風合いがカッコいいなあと思って。こういう文化もあるんだなあと。weaversとかで検索したら、結構いろいろな作品が上がってきて・・・」

タペストリーの独創性をヒントに、同じスタイルでブローチも制作。新しく試作した作品は、ワークショップの生徒さんに見てもらって、感想を聞くことも。

 

尽きない織りの魅力

「だって、糸が生地になるってすごくないですか?」

織りの魅力を尋ねたとき、ひときわ印象的だったichi.coさんの言葉です。

「私には織り上げたいものがたくさんあります。次はこれ、次はこれって。織りは、自由であって、自由でない。組織のなかに組み込まれている幾何学模様は、決まりがあるけれど、タペストリーは、ランダム。矛盾しているようだけれど、そのどちらも好きなんです」

10月20日からは、3人の作家による展示販売会&オーダー受注会を開催されるそう。次々と生まれる新作の手織り、たっぷり堪能させていただきましょう!

 

 

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